ホンダ・シビック1.6i-DTEC EX

公開 : 2013.11.26 22:00  更新 : 2017.05.29 19:10

■どんなクルマ?

ユーザーの声に耳を傾け、イギリス中の販売店と意見を交わし、ホンダシビック・ハッチバックの2014年モデルについて、動力性能とスタイリングの刷新を行った。

ホンダが言うには、ベースモデルとシビック・タイプR(2015年発表予定)との性能差を詰め、プレミアム市場での訴求力を高めるのが狙いだという。

9世代目のシビックは、ハイスピード走行時のハンドリング性能を高めるために電動式パワーステアリングに手直しを加えた。

サスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアがトーション・ビームという組み合わせのまま、前後のダンパーの調整によりボディのコントロール性能を高め、また、ハンドリングを改善するためにリア・サスペンションのキャンバー角とトー角を再調整している。

こうした調整は、スウィンドンにあるホンダのエンジニアリング・チームによって実施され、欧州に適した作り込みが行われた。

■どんな感じ?

マイナーチェンジの効果は、先代のものと乗り比べてみると明白である。先代モデルは、太いステアリングを握っていても路面からのフィードバックが皆無(どころか不正確)であったのに対し、今や洗練されてコントロール性も向上している。

有難いことに、先代シビックのように反応がシビアで扱いづらいということはなく、非常にバランスの良いものとなった。

スプリングとダンパーの変更により、ドライバーの関与できる範囲は一段階広くなっている。ハイスピードでコーナーに入っていくと、新しいシビックは今までより引き締めらていて、安定感とロールの抑制力が増していることが分かる。つまり、フロントとリアで起きていることが、これまでより掴みやすくなっているのだ。

シビックの乗り心地は、特段無理をしているわけでもないのに、不整路ではおぼつかないところがあり、少々一貫性に欠けている。幹線道路の路面が荒れているところでは、かなりのロードノイズが響いてくる。我々のテストカーが、標準仕様の16インチ・タイヤとホイールの組み合わせではなく、オプションの17インチのものを履いていたのが原因だろう。

スタイリングの主な変更点は、リアガラスの下半分にプライバシーガラスが採用され、ナンバープレートの上方と、リアバンパー下端がピアノブラック塗装になったことである。フロントバンパーも、アンスラサイド・グレーに代わって、ピアノブラック塗装になっている。さらに、ホイールアーチ部のガーニッシュは濃い色に変更された。変更点はわずかだが、先代モデルと横に並べてみれば、プレミアム感を出しながらも上手にまとめられていることが分かる。

インテリアでは、レザーに明るい色のステッチが入り、艶出し加工や光沢のあるパーツを配したことで、これまでの味も素っ気もないキャビンからの質感向上が図られている。

依然として変わらないのは、どちらも基本的な欠点なのだが、標準的な身長のドライバーさえ窮屈なヘッドスペースと、上下分割されているためにリアウィンドウの後方視界が劣悪なことだ。

■「買い」か?

そうとも。一考に値するクルマである。今回の変更は、車両本体価格に多少は跳ね返ってくるだろう。とはいえホンダは、チューニング・パッケージを含むハイ・スペック化を予定している。これでは「ノー」と言うことはできないだろう。

シビックのエンジン自体には変更がない。我々のテストカーに搭載されていた、軽量で楽しく、エコ性能にも優れる1.6リットルの最新ディーゼルエンジンは、ライバル勢と比べても選りすぐりのものと言える。とりわけ、減税対象のハッチバック車のパンフレットをかき集めて、免税額を計算している皆さんにとっては。

結論としては、数々の変更点をもってしても、フォード・フォーカスとフォルクスワーゲン・ゴルフのライバル候補として、いまだにシビックは外れたポジションにある。目を輝かしてホンダのディーラーに駆け込むのは、研究熱心なドライバーくらいだろう。

(マット・バート)

ホンダ・シビック1.6i-DTEC EX

価格 £23,785(390万円)
最高速度 207km/h
0-100km/h加速 10.5秒
燃費 27.8km/ℓ
CO2排出量 94g/km
乾燥重量 1428kg
エンジン 直列4気筒1597ccターボ・ティーゼル
最高出力 118bhp/4000rpm
最大トルク 30.6kg-m/2000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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