【トヨタの隠し玉!?】日野、縁の下の力持ち→表舞台へ なぜ今なのか EVトラックなど続々導入 テスラ対抗も

公開 : 2020.11.06 11:51  更新 : 2022.09.26 14:39

世界各地で多角的かつ包括的な連携

今回の決算発表で公開された「日野の電動化戦略」によると、「地域ごとのニーズや法規制・インフラ等の動向を踏まえて、地域軸・技術軸・時間軸で最適なパートナーと連携する」という基本方針を示している。

具体的には、アメリカでは「プロジェクトZ」と称し、最もサイズが大きなクラス8トラックでは、トヨタと共同開発する燃料電池トラックを採用。さらに、中大型クラスではアメリカのEV関連企業各社と連携する。

中国では、香港にほど近く、多くの中国IT関連ベンチャーが拠点を置く「深せん」の主力企業であるBYDと2021年に商用EV開発の新会社を設立する予定だ。

BYDは中国国内はもとよりアメリカや欧州で大型EVバスを販売している。

さらに欧州では、トレイトンと組む。フォルクスワーゲンの子会社で、MANやスキャニアなど大手トラック・バスメーカーを持つ企業だ。

電動化プラットフォームや電動コンポーネンツの共通化について、スキャニアの拠点があるスウェーデンで作業を始める。

このように世界各地でトラック・バス電動化に関する大型プロジェクトを同時進行させるというのだ。

こうした経営判断が、日野単体でおこなわれているとは考えにくい。

トヨタの戦略 日野は一気に表舞台へ

そういえば……。日野を含めたトヨタグループが一丸となる体制作りとして、筆者として思い出される光景がある。

通称「タテシナ会議」(2019年7月18日:長野県茅野市・テラス蓼科)だ。

毎年この時期、トヨタ本社、トヨタ関連企業、トヨタ販売店それぞれの経営者らが、蓼科山聖光寺(しょうこうじ)の夏季大祭にて交通安全を祈願する。

49回目となった2019年は、トヨタのギル・プラット氏(現チーフサイエンティスト&エグゼクティブフェロー・フォー・リサーチ)が自動運転に関する基調講演をおこなった。

トヨタの豊田章男社長を筆頭にグループ幹部がトヨタの未来について積極的な意見交換をおこなう場を、タテシナ会議と呼んだ。

CASE(コネクティビティ/自動運転/シェアリングなど新サービス/電動化)や、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)など、自動車産業がこれまでに経験のない大きな時代変化の真っただ中にいることは、トヨタグループ幹部は十分に認識している。

その上で、タテシナ会議を含めてグループ内で様々な協議を進める中で、日野によるトラック・バス分野の変革に関する意思決定がスピード感を持って進められたのだろう。

ここへきて、これまでは縁の下の力持ちだった日野が、トヨタ次世代戦略で一気に表舞台に出てきた印象がある。

日野のこれからに注目したい。

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