【詳細データテスト】アルピナB3ツーリング 圧倒的なパフォーマンス パフォーマンスカーでは異例の快適性 アルピナの最高傑作

公開 : 2020.11.14 11:50

BMWをスーパーマシンに変貌させるアルピナの技量は折り紙付きですが、今回はさらにスペシャル。なにしろ、ベースエンジンはM謹製ユニットなのです。しかし、その美点はパフォーマンスのみにあらず。文句なしの一台です。

はじめに

自動車産業がまるで週替わりのように目まぐるしく姿を変えざるをえない昨今、アルピナのプレゼンスに覚える安心感はかつてないほど高まっている。

なんといっても、フェラーリがSUVを造ろうという時代である。電気で走るポルシェは、すでに数多く出荷されている。AMGは次世代スーパーセダンで、8つあるエンジン気筒数を減らそうとしているが、その数は6ではなく4になる見込みだ。

テスト車:アルピナB3ツーリング
テスト車:アルピナB3ツーリング    MAX EDLESTON

しかし、今回はワゴンボディでロードテストに挑むアルピナの新型B3の場合、このブランドの特質だと認知されているものをなぞろうとするのみ。シリンダー数は6つで、路上でのマナーは豪華なインテリアにふさわしく洗練され、とてつもないパフォーマンスを秘めながらもエクステリアは控えめだ。

そのパフォーマンスを試したくてたまらない想いを抱えて、われわれはこのクルマをロードテストで取り上げる機会を待っていた。というのもこの新型B3、BMWのレギュラーモデルをコンバージョンするアルピナ車では、はじめて正真正銘のMモデル用ユニットがベースのエンジンを積むのだから。

アルピナはまた、55年の歴史で初となる、年間販売2000台突破の達成へ、このB3が貢献してくれることにもひそかに期待している。開発コストが急速に高まっている昨今、それが叶うとすれば、こんなにうれしいことはない。

今回のツーリングモデル、価格は7万ポンド(980万円)近い。それだけに、新しくアルピナを購入しようというユーザーは、ベースとなる5万3000ポンド(約742万円)弱のBMW M340iツーリングよりスペシャルなマシンであることを期待するはずだ。もちろん、日常使いでの多才さはそのままに。

それを成し遂げるのは、決してたやすい仕事ではない。ましてや、アウディRS4アバントやメルセデスAMG C 63ステーションワゴンといった、価格帯が近く、能力の高い競合モデルたちにも負けるわけにはいかない。

しかしながら、B3ツーリングにとって最大のライバルは間違いなく、アルピナが特別な協力関係を築くメーカーが、遠からず市場投入するあのクルマだ。基本設計や生産ラインをある程度まで共用し、必然的にアルピナ版3シリーズの比較対象とされ続けてきたM3に、BMWは2022年、はじめてツーリングを設定するのである。

そのミュンヘンが送り出すいとこのようなM3ツーリングの登場で、B3ツーリングのセールスは割を食いそうにも思えるが、アルピナ創業者の息子でもあるアンドレアス・ボーフェンジーペンCEOは、むしろ自社の商品への関心がいっそう高まるだろうと考えている。とくに、M3のワゴンがデビューするまでの2年間は。

となれば、知りたいのはM3ツーリング登場を待つべきかどうか、さもなくばブーフローエのファクトリーで仕立てられたB3ツーリングに今すぐ飛びついて正解なのか、ということにほかならない。

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