【詳細データテスト】アルピナB3ツーリング 圧倒的なパフォーマンス パフォーマンスカーでは異例の快適性 アルピナの最高傑作

公開 : 2020.11.14 11:50

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

アルピナの大きな売りは、コントロールやスタビリティがアウトバーンで要求されるレベルを満たしていながら、快適性も高いこと。そして、ハンドリングの性格は、ドライバーに語りかけてくるようなもので、決して声高に主張することはない。

先代B3は、これらの点においてじつに魅力的だった。新型が目指すのも、これらに連なるもの。そこでベースに、G20世代のM340iを選んだ。

ボンネットを開けると、ミュンヘン近郊のレーゲンスブルク工場で刻まれた車両識別番号が取り消され、アルピナのスペックコードが刻まれているのが確認できる。
ボンネットを開けると、ミュンヘン近郊のレーゲンスブルク工場で刻まれた車両識別番号が取り消され、アルピナのスペックコードが刻まれているのが確認できる。    MAX EDLESTON

ただし、エンジンは別だ。2993ccの直6ユニットは、M3に搭載されるのと同じS58型を採用した。これはアルピナにとってプラス要素だ。少なくとも、通常のBMW用ユニットに、ターボチャージャー追加のための加工を施す必要はなくなった。S58ユニットは、元からツインターボ仕様だからだ。

ただし、アルピナはタービンハウジングを小型化し、吸気系をモディファイすることで、トルク特性とレスポンスとのバランスを独自のものに仕上げている。冷却系も強化し、インタークーラーとエアダクトを大型化するとともに、2基の冷却器を追加している。

最高出力は、先代の430psから462psへアップ。71.3kg−mの最大トルクは、3.0Lの量産エンジンでは過去最強で、AMGがC 63 Sに積んだ4.0LのV8と同じ数値だ。ちなみに新型M3は、強化版のコンペティション仕様でも66.2kg-mにとどまる。

この大トルクを受け止めるべく、ZF製の8速トルクコンバーターATも強化された仕様に。これは、一般的にはV8と組み合わされるトランスミッションで、ロールス・ロイスではV12とのセットで使っている。

駆動力は前後アクスルへ可変配分され、リアには電子制御LSDを搭載。通常時の前後配分は、M340iよりわずかながらリアの比率を下げて、トラクションを重視した。また、アンダーボディには駆動系冷却用にNACAダクトが追加されている。

そのほかでは、サスペンション部材の一部で強度アップが図られ、トレッドを拡大。パワーステアリングのプログラムやステアリングジオメトリーは変更され、前輪のネガティブキャンバーが1°増しているほか、ピボットベアリングが専用品に換えられている。

ダンパーはM340iと同じものだが、プログラムは見直され、アイバッハ製の専用スプリングを装着。バンプストッパーとスタビライザーも専用品だ。サスペンションのセッティングは変更可能だが、そのパラメーターはBMWが用意するものより幅広く、長距離ドライブ用のコンフォートプラスモードが加わっている。

ホイールは標準装備が19インチで、オプションが20インチ。いずれもピレリがアルピナ向けに開発し、ALPのサフィックスが与えられたPゼロを履く。このアルピナスペックのタイヤのサイドウォールは、非常に薄い見た目ががほのめかす以上のしなやかさを生む。

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