謎多きフレンチタイヤ ミシュランのパブリックイメージ(後編)【サイトウサトシのタイヤノハナシ 第17回】

公開 : 2026.02.18 12:05

タイヤの達人・サイトウサトシが、30年以上蓄積した知識やエピソードを惜しみなく披露するこのブログでは、各タイヤメーカーのパブリックイメージをおさらい中。第17回はミシュランの後編です。

性能のベンチマーク的位置づけ

前回は、ミシュランのブランドについて思い出話を含めてご紹介しました。

さて、今回は、肝心なタイヤの話。

ミシュランマンでお馴染みのミシュランのマーク。
ミシュランマンでお馴染みのミシュランのマーク。    平井大介

ミシュランのイメージですが、ユニフォーミティ(真円度)が高く、いろいろな意味でバランスのいいタイヤというイメージがあります。

また、タイヤのテストドライバーや、エンジニアに話を聞くと、ミシュランは性能のベンチマークになっています。

パイロットスポーツ5やプライマシー5はミシュランを代表するタイヤで、適度にタイヤの縦バネが効いた、応答性の良さを持っているのが特長に挙げられると思います。

特にプライマシー5はコンフォート系ハイパフォーマンスタイヤといったキャラクターですが、特別に乗り心地をマイルドにしようとはせず、適度な張りの強さがあり、応答性も比較的シャープな味付けになっています。

また、ショックの収束が速く、コツコツした硬さは感じるものの、それよりも大きな振動はスッと収まるので、乗り心地としては、すっきりしたものに感じられます。パイロットスポーツ5と比べると、タイヤのストローク(たわみ)を使って、大きめのショックを受け止めている印象です。

バランスの巧みさに気付いたきっかけ

ここ10年くらいの印象なのですが、ミシュランのタイヤを試乗して感じているのは、タイヤの骨格となるケースとトレッドコンパウンドのバランスがとても巧みであるということです。

そもそもミシュランのタイヤは、空気圧を上手に使ってケース剛性を作り出しているように感じます。

補強部材を使わずに、内圧を巧く使って剛性を出している印象。
補強部材を使わずに、内圧を巧く使って剛性を出している印象。    平井大介

もちろんカーカス、スチールベルト、キャップレイヤーという部材による基本骨格は持っていますが、それ以外にほとんど補強部材を使わずに、内圧を巧く使って剛性を出している印象です。

そして、この内圧で作り出したケース剛性と、トレッドコンパウンドが絶妙にバランスしているのです。ケースが硬すぎてトレッドコンパウンドが先に変形しきってしまったり、逆にコンパウンドグリップが勝って、先にケースが大きく変形してしまったり、というアンバランスがないんです。

このことをなんとなくイメージするようになったのは、もうかれこれ20年以上前の話になると思いますが、Cセグメント・ハッチバックの雨のロケでした。

他のクルマに比べて、明らかにフォルクスワーゲン・ゴルフのコーナリングスピードが速いんです。外で見ていて、最初は頑張って走っているのかな、と思ったのですが、自分で走らせてみても不安を感じずにほかのクルマより速いスピードで旋回しているんです。

その時は、ゴムがいいのか、排水性がいいのか……、ミシュランのウエット性能はいいなあ、とぼんやり考えていました。

ですが、何度かウエットでミシュランのベーシックタイヤを走らせるうちに、タイヤの変形具合とブロックの変形具合のバランスがいいと感じるようになったんです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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