【新型フェアレディZ妄想ドライブ 中編】日産スカイライン400RとZ34ニスモに試乗 見えてきたZ35の方向性

公開 : 2020.12.06 05:45  更新 : 2021.10.13 15:58

400R試乗 Z35の方向性みえた?

400Rでは、電子制御ショックアブソーバーのインテリジェントダイナミックサスペンションの効果が大きい。また、大径ディスクの4輪対抗ピストンブレーキがかっしりとした効きも心地良い。

その上で、最高出力405ps/最大トルク48.4kg-mのV6ツインターボが活きる。

日産スカイライン400Rの乗り味は、新型フェアレディZ(Z35)に近い?
日産スカイライン400Rの乗り味は、新型フェアレディZ(Z35)に近い?    田村 翔

3000-5000rpmのアクセルレスポンスの良さと、トルキーさが、実に使いやすい。

それでも、市街地や高速道路でパワーやトルクに振舞わされるようなイメージはまったくない、落ち着いた大人のハイエンドカーである。

また、当たり前のことだが、400RとGT-Rは、2WDと4WD、またエンジンの違いだけではなく、まったく別の方向性のクルマであることを改めて感じた。

その上で「Z35の乗り味は、これ(400R)に近いのかもしれない」とも思った。

ただし、今回はZ35の本質を感じ取れるようなハードなドライビングを400Rに求めてはいない。

仮に、400Rでサーキットランをさせると、あくまでも推測だが根本的な剛性不足がチラチラと顔を出すのではないだろうか。

これが、田村氏がZ35プロトの走行動画で指摘した「お客さまが期待しているZらしいデザインを維持しながら、ツインターボエンジンを搭載するのは、簡単ではありません。ストロング・ボディコンストラクション(強い車体剛性)も必要です」という言葉につながるのだと思う。

Z34ニスモ乗り換え 単純な話ではない

一方で、Z34ニスモは、純粋なZを感じる1台だ。

当然、乗り味は400Rより硬めだが、専用サスペンションとヤマハ製パフォーマンスダンパーやストラットタワーバーのより、現行プラットフォームの中での「動きの深み」を感じる。

日産フェアレディZ(Z35)。外観のデザインテイストで強調されているS30という、Zとしての原点回帰は、例えエンジンパワーが圧倒的に違っても、Z35の走りのイメージへと反映されるべき。
日産フェアレディZ(Z35)。外観のデザインテイストで強調されているS30という、Zとしての原点回帰は、例えエンジンパワーが圧倒的に違っても、Z35の走りのイメージへと反映されるべき。    田村 翔

時計の針を少し戻すと、Z34の原型であるZ33の登場時点、開発統括者は、開発のイメージとして「アウトバーンでのポルシェの走り」を引き合いに出した上で、Zの主力市場であるアメリカ人好みのハンドリングに対する調整について語ってくれた。

そうしたZ33が目指したグランドツアラーとして方向性が20年近い熟成を経て、Z34ニスモで集約されているように感じる。

その上で、今回の試乗で感じたように、Z35はZ34に400RのV6ツインターボを単純に載せた状態、そんな2モデルを足して2で割るような話にはならない。

では、Z35はどういったクルマなのか?

1つだけ確かなことは、外観のデザインテイストで強調されているS30という、Zとしての原点回帰は、例えエンジンパワーが圧倒的に違っても、Z35の走りのイメージへと反映されるべきだという点だ。

次は視点を変えて、Z34や400Rを含むスカイラインユーザーはZ35に対してどんなイメ―ジを抱いているのかを、各種データを基に考えてみよう。(後編へ続く)

記事に関わった人々

  • 田村翔

    Sho Tamura

    1990年生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、2013〜2020年までアフロスポーツのメンバーとして活動。2020年よりフリーに転向。光と影を生かしながらレーシングカーやアスリートの「美」と、報道的かつ芸術性を追求した表現を目指し、モータースポーツと国内外のスポーツ競技を撮影する。日本レース写真家協会(JRPA)会員/日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。

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