【チャイルドシート】なぜ黒/紺/グレーなど地味色ばかり? 背景にパパとママのバトル 安全性に違いは

公開 : 2020.12.27 07:05  更新 : 2022.03.25 18:50

国産チャイルドシートは、黒/紺/グレーなど地味色ばかりです。背景にチャイルドシートはパパ、ベビーカーはママといった分担が。色による安全性も考えます。

国産チャイシーは黒/茶/グレーがほとんど

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

チャイルドシートの安全性や使いやすさを検証したり、新製品を紹介したり……仕事でチャイルドシートに関わるようになって20年が経った。

これまで検証や紹介をしてきたチャイルドシートは少なくとも500台は超えるだろう。

コンビやアップリカ、エールベベなどの国産品は花柄などの柄モノは皆無、色も、茶色やグレー、黒が主流でわずかにベージュ……という構成。
コンビやアップリカ、エールベベなどの国産品は花柄などの柄モノは皆無、色も、茶色やグレー、黒が主流でわずかにベージュ……という構成。

筆者が最近、新しいチャイルドシートを見るたびに感じていたことは「なぜ、日本製チャイルドシートは黒や茶色、グレーなど地味な色が多いのか」ということだ。

マキシコシ(オランダ)やブリタックス・レーマー(ドイツ)、サイベックス(ドイツ)、ジョイー(イギリス)、グレコ(アメリカ)など海外ブランドのチャイルドシートは赤や水色、グリーン、ピンクと茶色の花柄など、鮮やかな色が主流だ。

スクーデリア・フェラーリ公式の『CYBEX FOR SCUDERIA FERRARI』をラインナップする、サイベックス社は乳児専用のCloud Z i-Sizeだけで、20種類以上のデザインバリエーションがある。

一方、コンビやアップリカ、エールベベなどの国産品は花柄などの柄モノは皆無、色も、茶色やグレー、黒が主流でわずかにベージュ……という構成だ。

華やかで明るいデザインが主流の海外製チャイルドシートと、寒色系主体の日本製チャイルドシート……この違いはいったい何なのだろうか?

一昔前は、日本製にも明るい色があったような気がするのだが?

最初に地味色を出したメーカーは?

法制化(2000年)の15年も前からチャイルドシートを販売してきたカーメイトに最近の傾向を聞いてみた。

同社は日本にチャイルドシートのJIS規格すら存在しなかった1986年に自社製品第1号の「マイティマミー2」を販売している。

欧州ナンバー1ブランド「マキシコシ」は暖色カラーのチャイルドシートがたくさん
欧州ナンバー1ブランド「マキシコシ」は暖色カラーのチャイルドシートがたくさん    マキシコシ公式サイト

茨城県にある結城テクニカルオフィスには国連基準(UN基準)の減速式衝突試験機を所有し、国土交通省の指導の下、認可試験の実施を認められた設備を持つ。

「弊社は2000年にチャイルドシート本体や関連用品などを『エールベベ』ブランドに統一し、2005年にはカラーやデザインを『パパ・ママ向け』に一新しました」

「それまで、ベビー用品の色味といえば、薄いピンクやブルーなど優しいカラーが定番でしたが、クルマの内装に合う落ち着いたダーク系のカラーに一新し、チャイルドシートのファッション性を高める方向に転換しています」

「とくに大ヒットしたのが『ダークブラウン』(こげ茶色)のチャイルドシートですね。クルマの内装にもマッチしてシックな雰囲気が良かったのだと思います」(カーメイト広報担当者)

エールベベが「パパ・ママ向けのシックな路線」に変更したことで、その後、他の国産メーカーも黒やグレーを中心とするダーク系のチャイルドシートをラインナップするようになったという。

かつてはパステル系カラーのチャイルドシートを製造販売していたというコンビも、近年は黒やグレーが中心。

どのような理由なのだろうか。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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