【SUVならディーゼル、は過日】フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIへ試乗 小変更

公開 : 2021.01.26 10:25

プレミアムなライバルに伍するインテリア

フォルクスワーゲンティグアン 2.0 TDIの0-100km/h加速は9.3秒と、鋭いわけでもない。信号ダッシュで流れをリードしたり、追い越し車線をすり抜けたりという走りも、得意分野ではない。

トランスミッションは、7速デュアルクラッチATの一択。郊外の流れの速い道では、気持ちよく変速をこなしてくれる。しかし信号の多い都市部では、活気に欠ける。高めのギアを、できるだけ長く保とうとするためだろう。

フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIエレガンス(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIエレガンス(英国仕様)

アクセルペダルを踏み込んでキックダウンを誘っても、高まるのは加速感よりエンジンノイズ。シフトノブにはDの横にSが記されているが、スポーツ・モードにしても、期待ほどエネルギッシュになるわけでもない。

インテリアは、プレミアム志向のライバルといい勝負ができる雰囲気を放っている。デジタルモニターが目立つ空間だが、それ以上に高級感もある。

実際に押せるボタン類は、ほとんど残っていない。110km/hで走行中にエアコンの調整をしたり、シートヒーターをオフにしたり、フロントガラスの曇りを取ったり、という操作は正直難しい。

試乗車のトリムグレードは、英国では最上級のエレガンス。パノラミックサンルーフが付いており、車内を開放的なものにしていた。

全体的な素材感や品質に、不満を感じることはないと思う。カーボンファイバー風の化粧パネルは、スポーティなRラインの方がよく似合うだろう。

仕立ての良いファブリック・シートは、長距離でも疲れない充分なサイズとサイドサポートが与えられている。クロスオーバーに期待する通りの、心地良い運転姿勢が取れる。

訴求力を高めるティグアンだが

デジタル技術を前面に感じられるダッシュボードが付いていても、4気筒ディーゼルターボは、せっかくのティグアンの魅力を削いでいるように感じる。英国では税制的にも不利で、SUVにディーゼルをオススメする時代は過ぎた。

個人ユーザーが2.0 TDIのティグアンを選ぶと、英国では年間870ポンド(12万円)の税金が請求される。高速道路を走る機会が多いなら、ディーゼルの好燃費を享受できるかもしれない。だが相当な距離を走らない限り、1.5Lガソリン以上の経済性は得られない。

フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIエレガンス(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIエレガンス(英国仕様)

ティグアンはフェイスリフトを重ね、スタイリングやインテリア、モデルレンジの構成は訴求力を高めている。フォルクスワーゲンにとっても、近年の最重要モデルの1つであることは間違いない。

しかしハイブリッド化されていないディーゼルターボは、オススメしにくいチョイスになった。たとえ長距離性能の洗練性で、多少のアドバンテージがあったとしても。

フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIエレガンス(英国仕様)のスペック

価格:3万5300ポンド(494万円)
全長:4509mm
全幅:1839mm
全高:1675mm
最高速度:197km/h
0-100km/h加速:9.3秒
燃費:15.1km/L
CO2排出量:173g/km
車両重量:−
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:150ps
最大トルク:36.7kg-m/1600-2750rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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