「四輪バイクへ最も近い仕様」 トライアンフTR8(2) ポンド高で開発は強制終了 弱点補う豪快な排気音
公開 : 2026.06.07 17:50
とんがりボディのトライアンフTR7に、V8エンジンを押し込んだTR8。北米では高評価で、イングリッシュ・コルベットと呼ばれました。他方、英国仕様は経営不振で頓挫に。UK編集部が貴重な試作車に迫ります。
もくじ
ー「四輪バイクへ最も近い仕様」
ー資金を求めてオークションに出品された試作車
ー多くの弱点を補う豪快なV8の排気音
ー強い好感を抱ける積極的なトライアンフ
ー北米仕様と英国仕様試作車 トライアンフTR8のスペック
「四輪バイクへ最も近い仕様」
トライアンフのオーナーズクラブが主催した、1980年のサーキット・イベントへ、NWK 988Wのナンバーで登録されたトライアンフTR8は先行的に登場。工場で試作された量産仕様の1台も、別のスタッフによって持ち込まれた。
同社で英国仕様のTR8の開発を率いたギャリー・オーウェン氏は、こう述べている。「四輪のバイクへ、最も近い仕様でした。驚くべき動力性能を誇り、コーナリングはオンザレール。240km/h以上でも余裕があり、運転を非常に楽しめましたね」

ジャック・ハリソン(Jack Harrison)
開発は終盤にあり、高速走行で性能を確かめ、ファンへお披露目するのは望ましい挑戦といえた。実際、参加車両を大きく引き離すほど、圧倒的な速さを見せつけている。
ところが、ポンド高が急速に進行し、TR8の北米価格は高騰。親会社のブリティッシュ・レイランド(BL)は、トライアンフ・ブランドを立て直すべく、右ハンドル仕様のTR8の開発中止を決定してしまう。
資金を求めてオークションに出品された試作車
それまでに、NWK 988Wを含む22台の英国仕様の試作車と、先行的な量産版が3台作られていた。その多くは1981年8月以降、経営資金を獲得するべく、オークションに出品されているが、トライアンフがどれほど苦しい状況にあったのかを物語る。
対してシルバーに塗られ、LOC 238Xのナンバーを下げたTR8 ドロップヘッドクーペは、1981年に製造された北米仕様。電子制御インジェクションを搭載した、最終仕様でもある。スタイリングと同様にインテリアも、概ねTR7とイメージを共有する。

ただし、初代オーナーは西ドイツの駐留米軍に所属した、シェリル・ラムゼイ氏。北米仕様では必須だった、触媒は備わらない。ECUは、有鉛ガソリンに調整されていた。
NWK 988WのTR8とともに、現オーナーはリチャード・コニュー氏。彼は2000年に購入し、丁寧なレストアは2年後に仕上がったそうだが、アップグレードも加えられた。
多くの弱点を補う豪快なV8の排気音
3.5Lエンジンは、北米仕様は本来150psながら、ECUのチューニングで168psへ上昇。サスペンションは、英国仕様に合わせて強化されている。フロントの4ポッドキャリパーとベンチレーテッドディスクも、同様な改良といえる。
北米仕様のTR8が、どれほど柔らかいサスペンションだったのかは想像するしかないが、シルバーのドロップヘッドクーペは明らかにスポーティ。トルクの山は、2500rpmから4500rpmの間。排気音のマッシブな響きが、多くの弱点を補ってくれる。

ローバー由来のV8エンジンを積んだモデルの中でも、音響体験は特に魅力的。メカニカルな感触が好ましいシフトレバーで、5速MTを積極的に操りたくなる。シートは座り心地が良く、運転姿勢は理想的。メーターパネルには、6枚のメーターが見やすく並ぶ。
荒れたアスファルトで僅かにボディを震わせるが、サスペンションは想像よりしなやか。操縦性は引き上げられ、グランドツアラーとしての能力は低くない。4気筒エンジンのTR7とは異なるレシオの、パワーステアリングも効果的に印象を高める。
































































































































