新型フォルクスワーゲン・ティグアン(2) プラグインHVとマイルドHV UK編集部が徹底試乗

公開 : 2025.05.30 19:07

当面の生産継続が明言された、VWで1番人気のティグアン ソリッドでプレミアムな車内 日常で不満なしのマイルドHV 対応力が増すプラグインHV 正確で落ち着いた操縦性 UK編集部が試乗

日常不満なしのマイルド 対応力増すプラグイン

3代目へモデルチェンジした、フォルクスワーゲンティグアン。このクラスのSUVにはディーゼルターボが好適といえ、市場によっては存続されることを歓迎したい。しかし実際は、マイルドかプラグインの、ハイブリッドが選ばれる率は高いだろう。

1.5L 4気筒マイルドHVのeTSIは、150psと充分なパワーを発揮するが、ややトルク不足。7速デュアルクラッチATは、それを補うべくショートレシオ側へ調整されている。0-100km/h加速は9.4秒と、悪くないダッシュ力ではあるが。

フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)

普段使いなら、基本的に不満なし。市街地でも高速道路でも、小さくないボディを活発に牽引してくれる。強めの加速を求めても、若干気張っているような印象はあるものの、回転数が過度に上昇することはない。満員・満載状態では、余裕に乏しいけれど。

1.5LプラグインHVのe-ハイブリッド272なら、明らかに対応力が増す。駆動用モーターは発進時のトルクが太く、フル充電で右足を優しく傾ければ、電気だけで現実的に約90km走れる能力も魅力。なお渋滞時は、電気の消費量が増えるようだ。

ブレーキとDSGはもう少し磨き込める

e-ハイブリッド272は、市街地をほぼ駆動用モータだけで賄える。他方、郊外を活発に走ると、エンジンが頻繁に介入する。総合で271psが主張されるものの、そこまでのパワフルさは感じにくい。濡れた路面での加速時は、トラクションが不足気味でも。

気になったのが、摩擦と回生を協調させるブレーキペダルの感触。高速域での踏み心地には、若干の違和感が伴う。またデュアルクラッチATは、発進時にギア選びに迷う場面があった。他のユニットを鑑みると、走行中の変速もより滑らかにできるはず。

フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)

試乗車は、いずれも20インチ・ホイールを履くRライン・グレード。アダプティブダンパーと可変レシオのステアリングが組まれる、ダイナミック・ドライビングパッケージが装備されていた。かくして姿勢制御は優秀で、回頭性もシャープといえる。

SUVらしい重量感を巧みに隠しつつ、高速コーナーを滑らかに処理。重心を低く感じさせるような、安定感がある。グリップ力も充分以上だろう。

正確で落ち着いた操縦性が強み

シャシーは安定志向。身のこなしは軽快ながら、運転の楽しさを求める向きには若干物足りないかも。ステアリングは重み付けが一定でも、アシスト量が強く感触が薄い。

それでも、正確で落ち着いた操縦性は明確な強み。アダプティブダンパーは15段階に調整でき、乗り心地か姿勢制御のどちらを優先するか悩める。18インチ・ホイールなら、効果を得やすいはず。車重のかさむe-ハイブリッド272の方が、快適性は増すようだ。

フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)

Rラインの試乗車は20インチ・ホイールで、細かな揺れを抑えきれず、期待する衝撃吸収性に届いていなかった。走行ノイズの音量も、肉薄なタイヤでは不利になりがちだ。

燃費は、1.5LのeTSIで平均14.9km/L。高速道路では僅かに伸びるが、2025年の水準では、驚くほどの高効率とはいえない。e-ハイブリッド272では、こまめに充電した平均で31.9km/Lと優秀。ガソリンスタンドへ立ち寄る回数は、かなり減るだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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