【4モデル乗り比べ】北海道で本領発揮 ジープの「タフさ」と「個性」

公開 : 2021.04.13 05:45  更新 : 2021.10.09 22:31

レネゲード4xeに込められたプライド

今回の試乗会の主役であるジープ初のPHEV、レネゲード4xeに関しては、押さえておくべき知識がいくつかある。

機構的な連結(プロペラシャフトなど)がない4駆であること。

ジープ・レネゲード
ジープ・レネゲード

前輪は1.3Lターボ・エンジンとスタータージェネレーターで駆動し、一方の後輪はモーターのみで駆動すること。

48kmの距離をモーターのみで走行できるバッテリーはセンタートンネルから左リアシート下にかけて搭載され、このためガソリンタンクが縮小されていることなどなどである。

ここまで聞くとクルマ好きは「じゃあバッテリーが空になるとFFになる? 」と考えるわけだが、そこはジープである。

バッテリー残量が0%になっても実際は少し電力を蓄えているらしく、またジェネレーター作った電力をリアに直接送ることで四駆状態を維持するのだという。

盤石のトラクションが確保されなければ、レネゲード4xeにジープ最強グレードであるトレイルホークとリミテッドの2モデルが用意されるはずがないのである。

最初にドライブしたのはトレイルホークだった。

その静かな発進は、レネゲードより1クラス上の上質さが感じられる。以前ドライ路面で試したよりも雪上の方がクルマ全体の質感が高く感じられるのはなぜだろう?

一方エンジン+モーターの連携が想像以上に滑らかなので4駆システムの駆動さばきを体感することは難しかった。

最後はフィジカルがモノをいう

走りのタッチが上質なのはレネゲード4xeリミテッドでも同様だった。

タイヤをチェックしてみると、ガソリン・モデルの215幅より2サイズも太い235幅を履いていた。

ジープ・ラングラー
ジープ・ラングラー

その理由はPHEVシステム搭載による車重の増加だった。4xeは実に300kg近くも重いのだ。

クルマの世界では重いというとネガティブな結論に結びつくことが多々あるが、4xeの場合は逆なのだ。

フロア周りの重量増で重心が低くなり、またタイヤ接地面が広がったことにより、面でグリップを稼ぐスタッドレスタイヤにも有利になっている。もしかしたら4xeが雪上最強のレネゲードかも(?)。

専用のコースでは興味本位にエレクトリックボタンを押し、モーターのみの走行フィールを試してみた。

実際は後輪駆動にしてドリフトを楽しみたかっただけなのだが、スロットルを強く踏むとエンジンが掛かってしまい、安定方向に転じてしまう。

4xeのシステムは実にウマくできていたのである。

最後にちょっとした新雪に踏み込んでみると、あまりに雪深くてスタックしてしまった。こういうシーンではフィジカル(ロードクリアランス)が重要なのである。

レネゲード4xeでもトレイルホークの車高がリミテッドより高く設定されているのはこのためだ。

新雪のような未開の地に踏み込む場合はラングラーをチョイスすべき。

そう考えるといよいよ、ジープ・ファミリーは役どころが絶妙な具合でカブっていない。

コロナ禍にあってもシェアを伸ばし続けるジープ・ブランドの人気は、タフな性能とキャラクターに裏打ちされているのだと感心させられた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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