【4モデル乗り比べ】北海道で本領発揮 ジープの「タフさ」と「個性」

公開 : 2021.04.13 05:45  更新 : 2021.10.09 22:31

雪解けの北海道でジープ4モデルに試乗しました。それぞれの絶妙な味付けの違いがジープの強さといえます。

ジープの実力試す絶好の条件

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

最近の試乗車は気がつくと四駆であることが多い。

横置きのフロント・エンジン車も、ミドシップのスーパースポーツも、ハイパワーのセダンも気づけば四駆化されていたりするのである。

試乗したジープ4モデル
試乗したジープ4モデル

今シーズン最初のスタッドレスタイヤ試乗で北海道を訪ねた時もそうだった。

メインとなる試乗車が四駆だったので「タイヤの弱点を隠すための方策か? 」と勘繰った。

けれどよく考えれば、いまどき降雪地域なら四駆が当たり前。降雪地域じゃなくても、自ら積極的にスタッドレスタイヤを用意するようなオーナーは当然のように四駆を指定するものだ。

今回、北海道へ来た目的はジープの雪上試乗会だった。

代替わりするごとにSUVとしての快適性能を高めているジープなので、普段の街中でも優秀性を感じることはできる。

しかし、今年で創業80周年にもなる四駆の開祖の本当のポテンシャルは条件がタフになるほどくっきりと姿を現す。

今回とくに注目したいのはジープ初の電動(PHEV)モデルとして登場したばかりのレネゲード4xeである。

3月前半の北海道は「一面の銀世界」ではなかった。主要な国道はすでにアスファルトが露出しているか所も多く、しかし脇道に入るとアイスバーンや圧接路になっていたりする。

ドライブする側としては厄介なシチュエーションだが、これはまさにジープを試す絶好の条件だったのである。

ジープなら雪道快適、しかも遊べる

試乗会の舞台となったリゾナーレトマムの駐車場にずらりと並んだジープ達。

今回はコンパス以外の4モデルの試乗車が用意されていた。

ジープ・グランドチェロキー
ジープ・グランドチェロキー

末っ子のレネゲードから最強のラングラーまで、プラットフォームはもちろん、エンジンの搭載方向から4×4システムまで違うのでどれから乗ろうか迷ってしまう。

最初は最もラグジュアリーなグランドチェロキー・リミテッドとその弟分ともいうべきチェロキー・リミテッドを交互にドライブした。

シリーズ唯一のエアサス搭載モデルの「グラチェロ」の乗り心地はとても印象的だった。

フワッと柔らかい脚さばきにもかかわらず、路面の状況をちゃんと把握できる。

一方のチェロキーはきびきびしたハンドリングとボディの軽さのマッチングが良く、牧場の中を上っていくようなワインディングでは雪上のスポーツカーのように遊ぶことができた。

セレクテレインシステムにはスノーやサンド、ロックといった走行モードが存在しているが、早春の北海道の一般道という今回のリアルな環境では「オート」を選んでおくことが正解なのだとわかった。

とくに印象的だったのは圧雪路のカーブを曲がった先の路面が雪解けしていたり、路面がアスファルトとアイスバーンで半々になっているようなシーンでも、一定のペースを保ったまま挙動を乱すことなく走り抜けられたことだ。

テストコースではなく一般道ということで緊張していた肩の力が、スゥーっと抜けていったのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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