【ギネス記録のスーパーカー】ジャンケル・テンペスト コルベットC4がベース 生産35台 後編

公開 : 2021.05.01 17:45

F40やディアブロがしのぎを削っていた1990年代初頭、ギネス記録を残したスーパーカーがありました。たった35台が作られたテンペストをご紹介しましょう。

もくじ

ハンドビルドのトラコ社製V8エンジン
前オーナーはロバート本人の可能性
恐らく年配の女性でも買い物に使える
最高速度を出さなくても最大限に楽しめる
ジャンケル・テンペスト(1991〜1993年/欧州仕様)のスペック

ハンドビルドのトラコ社製V8エンジン

text:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ロバート・ジャンケルはトラコ社のジム・トラバーズとフランク・クーンへ会うと、テンペストのために希望する最高出力と最大トルクのカーブを描いて見せた。2人は2度目の試作で、希望通りのスペックを達成したという。

ハンドビルドされた6358ccのV8エンジンは、GM社製のブロックがベース。ボルテックス社製のスーパーチャージャーをドッキングさせ、LT5ユニットより167ps向上。最大トルクは83.9kg-mを叩き出した。

ジャンケル・テンペスト(1991〜1993年/欧州仕様)
ジャンケル・テンペスト(1991〜1993年/欧州仕様)

怒涛のトルクは、ロータス・カールトンと同じZF社製の6速MTを介し、幅9.5Jの極太リアホイールへ伝達。最高仕様のテンペストは0-97km/h加速を4秒以下でこなし、最高速度320km/h以上を実現した。

アクアミスト社による、水噴射システムも採用している。過早点火を防ぐため、シリンダー内に水をスプレーするシステムだ。ジャンケル自身が戦闘機のスピットファイアの開発で知った技術で、低品質のガソリンからエンジンを守るメリットもあった。

サスペンションは、比較的古い技術のアップデート版。シンプルで機能的な横置きリーフスプリングを前後に装備。タンパーは、車内のダイヤルを介して減衰力の調整ができる。

ツーリングとスポーツ、パフォーマンスの3段階があり、街乗り用のソフトなものから、積極的なハードなものまで乗り心地を選べる。ブレーキはボッシュ社製のABSを採用した、ベンチレーテッド・ディスク。トラクション・コントロールも付けられた。

前オーナーはロバート本人の可能性

純金メッキのロールス・ロイスからもっと悪趣味な仕立てまで、ジャンケルはコーチビルダーとしてインテリアも得意分野。テンペストの場合は少し控えめな選択肢だったが、オーストリッチ風レザーといったオプションが用意された。

ボディ下から路面を照らすアンダーネオンや、メガホン・サイレンも装備できたようだ。お金持ちの嗜好は幅が広い。オーナーのマクナリーによれば、メガホンはドライブスルーで飲み物を注文する際、便利だという。

ジャンケル・テンペスト(1991〜1993年/欧州仕様)
ジャンケル・テンペスト(1991〜1993年/欧州仕様)

ヘッドライトの明るさは、800Wもある。誰もが幻惑してしまう照度だろう。

マクナリーは専らアジアで仕事をしており、テンペストに乗るのはバカンスなどの短い期間。これまで20年ほど所有しているが、まだ1万6000kmも走っていない。

取材したのはロンドンから南東に下った、セブノークス。カーブの多い狭い並木道は、あいにくの大雨でひどく濡れている。FRのスーパーカーを試乗する理想的なコンディションとは、かけ離れている。

もっとも天気に関係なく、テンペストは狭い英国はあまり意識されていなかった。彼が手掛けた多くのモデルと同様に、ターゲットは砂漠に伸びる直線を飛ばしたいドライバー。ドバイやアブダビなど、石油で潤う都市に住む人たちだ。

マクナリーがほぼ乗らず大切にしてきたことには驚くが、彼のテンペストは特別な1台だと思われる。前オーナーがロバート・ジャンケル本人だったと考えられる手がかりが、多く残っている。

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