【乗りかえ検討の方へ】新旧比較 新型ホンダ・ヴェゼルどこが進化? 

公開 : 2021.04.27 05:45  更新 : 2021.10.22 10:12

パワートレイン/ハイブリッド/燃費は?

エンジンは新旧モデルともに直列4気筒1.5Lのノーマルエンジンとハイブリッドを用意する。先代型には1.5Lターボもあったが、新型では廃止された。

新型ではノーマルエンジンのグレード数も大幅に減らされ、Gのみになった。ほかのグレードはすべてハイブリッドのe:HEVだ。

ホンダ・ヴェゼル
ホンダヴェゼル

ハイブリッドシステムは大幅に刷新された。先代型は有段式ATの7速DCTを採用して、そのトランスミッションケースの内部に、1個のモーターを収めており、ダイレクト感のある運転感覚が特徴だった。

一方、新型のe:HEVでは、エンジンは主に発電機を作動させる。生み出された電気を使って、モーターを駆動して走る仕組みだ。モーター駆動だから、運転感覚は電気自動車に近く、加速が滑らかでノイズも小さい。走りの質を高めた。

また、駆動はモーターが受け持ち、エンジンは主に発電を担当するから、燃費効率の優れた回転域を多用できる。高速道路を一定速度で巡航する時は、モーター駆動では効率が下がる場面もあるため、エンジンが直接駆動して燃費を節約する制御もおこなう。

このように新型のハイブリッドシステムは機能が大幅に進化して、WLTCモード燃費も、売れ筋のe:HEV Z(2WD)が24.8km/Lだ。

先代型のハイブリッドZホンダ・センシングは19.6km/Lだったから、先代型から新型に乗り替えると、数値上は燃料代を約20%節約できる。

グレード構成&価格は?

新型のグレード構成は、前述のとおりノーマルエンジンが1種類に削減された。ターボエンジン車も選べない。

e:HEVは3種類だが、先代型のハイブリッドはモデューロXを含めると5種類だったから、新型はグレード構成がシンプルになった。

ホンダ・ヴェゼル(先代モデューロX)
ホンダ・ヴェゼル(先代モデューロX)

価格は新型で最もお買い得なe:HEV Zが289万8500円(2WD)だ。

先代型のハイブリッドZホンダ・センシングは276万186円だから、新型は13万円ほど値上げされた。それでも安全装備などの機能向上を考えれば、新型はむしろ割安になっている。

今は設計の新しいヤリス・クロスキックスを筆頭に、ライズ、CX-30など、比較的コンパクトなSUVが増えた。

SUVは新車として売られる小型/普通車の25%を占める人気のカテゴリーになったから、競争も激しい。

とくにコンパクトなSUVは価格を高めにくく、その中でもヴェゼルは、広い居住空間や荷室を考えるとお買い得感が強い。

先代からの進化度は?

新型のボディサイズ、車内の広さ、運転のしやすさといった実用性は、先代型と比べてあまり変化していない。

しかし、内装の質、シートの座り心地、走行性能、乗り心地、燃費、安全装備などは向上した。

ホンダ・ヴェゼル
ホンダ・ヴェゼル

つまりヴェゼルのフルモデルチェンジは、現行フィットと同様、主に快適性、走り、安全性を高めるものになった。

SUVが好調に売れる1番の理由は、実用性と趣味性の両立だ。居住性や積載性はワゴンのように実用的で、走りの上質感や運転の楽しさも味わえる。この2つの要素のうち、新型ヴェゼルは、後者の上質感や楽しさを進化させた。そこがフルモデルチェンジの注目点だ。

したがって、先代型から新型への乗り替えを検討しているユーザーは、新型の試乗車などを運転してから購入するか否か判断することをおすすめする。

「この程度の進化なら、今使っている愛車の車検を取って、もう少し乗り続けよう」と判断されるかもしれない。実用性に大差はないので、感覚的な要素を見極めていただきたい。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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