ポルシェ・マカン Sディーゼル

公開 : 2014.02.14 21:45　　更新 : 2017.05.29 19:05

■どんなクルマ?

これは2日前にレポートしたマカン・ターボのディーゼル・バージョンだ。£43,330(734万円)というプライス・タグが付けられたモデルで、そのエンジンは255bhp/4000-4250rpmのパワーと59.0kg-m/1750-2500rpmのトルクを発揮する3.0ℓターボ・ディーゼルが搭載される。間違いなく、現時点で販売されるディーゼルSUVでは最もスポーティなモデルと言える。

ちなみに、マカンのトップ・グレードは400bhpのガソリン・ターボを搭載するマカン・ターボだ。このモデルは、265km/hのトップ・スピードを誇る。中間グレードが、ターボよりも非力なV6ガソリン・ターボを搭載したマカンSだ。紛らわしいことにこのモデルもターボ・エンジンを搭載するのだが、シンプルにマカンSと呼ばれる。そして、マカン Sディーゼルは、15.9km/ℓの燃費と、159g/kmのCO2排出量を持つ経済的なモデルである。

この3つのマカンは、アウディQ5のプラットフォームをベースとしているが、この2つのモデルで共用されるパーツは1/3以下であるという。アーキテクチャーは似ているものの、そのルックスやドライビング・フィールは全く異なるという。

例えばサスペンションは、スティールが標準、エア・サスペションがすべてのモデルにオプションで、フロントがストラット、リアがマルチリンクという構造はQ5と酷似している。しかし、そのサスペンションとシャシー(ステアリング、ブレーキ、ギアボックス)は専用のセッティングだ。7速のPDKが与えられ、ブレーキとダンパーはQ5よりもシャープなレスポンスを持つようにチューニングされている。また、そのドライビング・ポジションもアウディQ5よりも低い。

■どんな感じ?

ひとことで言うならば洗練されている(refined)、2ワーズで言うならば最高に洗練されている(supremely refined)、そして4ワードで表すなら最高に洗練されていて且つ速い(supremely refined and quick)という言葉が当てはまる。

走りだして数マイルもすれば、正確で精度の高いステアリング、容易く制動力を生み出すブレーキ、高品質な乗り心地などに感銘を受けるはずだ。しかし、それ以上に素晴らしいのはそのエンジン・フィールだ。そのパワー・デリバリーの滑らかさと、パワーそのものだ。そして、これまた最高のPDKとの組み合わせがそこにある。この組み合わせは、このクラスのどのSUVと比較してもマカン Sディーゼルにトップ・クラスのダイナミックさを与えている。

確かにわれわれが試乗したのはドイツの綺麗に舗装された路上と、ライプツィヒのテスト・トラックだけだったが、その圧倒的な印象は最高レベルのものだった。もちろんマカン Sディーゼルはスポーツカーではない。しかし、それに近いものを持っていた。

世界で最も実用的な4WDの高速ハッチバックと呼ぶに相応しい。そのフィーリングは確かにQ5とも異なるし、純粋にファン・トゥ・ドライブと言う面ではBMW X3もマカンに負けないものをもっているかもしれない。しかし、本当に意味で、快適で洗練されたということになると、マカンのほうが一歩も二歩もリードしている。優雅で、機敏で、速くで、しかも広くて快適なクルマがマカンなのだ。

■「買い」か?

現在製造されている最高のコンパクトSUVを望むのなら、マカンを買うべきだ。しかも、マカン Sディーゼルであれば、価格的にもそう無理がある存在でもない。しかし、残念なことにマカンのウェイティング・リストは1年に成長している。今年の全世界の50,000台の割り当ては既に終わってしまっているのだ。それでも、マカンが欲しいと感じるのであれば、一刻も早くオーダーを入れるべきだろう。

(スティーブ・サトクリフ)