【クルマとの濃密な対話】ベントレー・フライングスパーV8試乗 伝統とV8の化学反応

公開 : 2021.05.31 07:05

ベントレー・フライングスパーV8に試乗しました。W12とは異なるドライバー向けの味付けが魅力です。

もくじ

王位継承のW12、V8のモデルの立ち位置は?
サイズ感忘れるV8 アスリートの振舞い
ハイテクをどう使う? ライバルはSクラス
ベントレー・フライングスパーV8のスペック

王位継承のW12、V8のモデルの立ち位置は?

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Keigo Yamamoto(山本佳吾)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

昨年末に生産開始がアナウンスされたベントレー・フライングスパーV8モデルが上陸を果たした。

ベントレーの4ドアモデル史上最高レベルのシャシーに、W12よりも軽いV8エンジンが組み合わさると、どのような化学変化が起きるのか?

ベントレー・フライングスパーV8
ベントレー・フライングスパーV8    山本佳吾

何しろ両者の間には車両重量にして100kgほどの差があるのだ。

2019年に新型のフライングスパーがデビューした時、話題の中心は「王位継承」にあった。

伝説的な6.75LのV8エンジンの生産終了にあわせ、ターボR、アルナージ、ミュルザンヌと続いてきたフラッグシップシリーズの生産が終了。これまでミュルザンヌと並行しベントレー・ブランド隆盛の一翼を担ってきたフライングスパーが先頭に躍り出たのである。

王位というキーワードを意識しなくても、新型のフライングスパーは先代よりも確実に質感が高められている。

刷新されてなおベントレー以外の何者でもないスタイリングは今回のV8モデルにも共通している。インテリアの仕立てにも今回あらためて感銘を受けた。

革素材が用いられた部分は半艶で丸みを帯びた造形に徹し、ウッドをはじめとするフェイシアは平滑な面を強調し、双方の境界線を細く厚みを感じさせるクロームが縁取っている。

ベントレーの伝統を踏まえつつ、さらなる洗練が加えられているのである。

見た目は「王位」そのもの。

ではV8モデルの走りはどう仕立てられているのか?

サイズ感忘れるV8 アスリートの振舞い

PATINAと呼ばれるゴールドのボディとブラックスペシフィケーションで黒く仕上げられたグリルやライトベゼルなどがシックな印象を醸し出す。

今回の試乗車はフライングスパーV8ファーストエディションだった。

ベントレー・フライングスパーV8
ベントレー・フライングスパーV8    山本佳吾

車体のサイズに比して横方向が若干タイトな運転席に座り、東名高速に入る。

直進ではマイナス100kgよりも、回転に比例して高まるエンジンパワーの印象が強かった。

6Lの大排気量で無過給領域をカバーし、どの回転域からでも一気にパワーが溢れ出すW12ターボとは違い、4LのV8ターボは図太いトルクの中にもターボ特有の緩急が感じられるのだ。

高速から狭い峠道にステージが変わった時に、V8モデルのメリットがはっきりした。

振動のない重厚な乗り味はそのままなのだが、鼻先の軽さが、車体全体を生き生きとさせていることがわかる。

タイトコーナーでステアリングに切り増すような場合でも、タイヤを酷使している様子もなくスッと切れ込んでいく。

そんなスポーティな走りを楽しむうちに、車体の大きさもまったく感じなくなっていた。

先代のフライングスパーV8にもドライビングカーの片鱗を感じていたが、新型はそれ以上だ。

コンフォートからベントレー推奨のBモード、そしてスポーツという走行モードによる変化は実はあまり大きくない。

むしろ体幹の強さによってピンからキリまでの振り幅が広がっているように感じられる。

実際に、先代はコンフォートモードで飛ばすとダンピングが不足しがちだったが、現行モデルはそれがちゃんと払拭されている。

そしてもちろん、ドライバーがその気になればアスリート的に振舞うこともできるのだ。

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