これまでになく刺激的 ベントレー・フライングスパー・スピード(1) 783psの優雅なリムジン

公開 : 2025.06.18 19:05

小改良で783psのV8プラグインHVを得た、フライングスパー・スピード 伝統を感じさせる優雅なインテリア リムジンにふさわしい完璧な静寂 目を見張るスタビリティ UK編集部が試乗

小改良で783psのV8プラグインHV獲得

英国の名門、ベントレーのCEOへ就任したフランク・ステッフェン・ヴァリザー氏は、さらに過激なモデルの必要性へ言及している。ポルシェで29年間もキャリアを積んだ彼は、もっと刺激的なベントレーの提供を考えているようだ。

小改良を受けた最新の3代目フライングスパーも、これまで以上に刺激的といえる。6.0L W12型エンジンは幕を閉じ、ボンネットに収まるのは4.0L V型8気筒。試乗したフラッグシップの「スピード」は、プラグイン・ハイブリッドで783psを獲得している。

ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)

従来のフライングスパーのハイブリッドは、V6で634psだったから、25%近い増強となる。殆どが優雅な移動手段として選ばれるリムジンには、過剰なパワーといえるかもしれない。電動化によって、さほど苦労なく達成されたとしても。

見た目の変化は限定的 駆動用モーターは190ps

新しいフライングスパーは、お化粧直しを受けたコンチネンタルGTのように、ブレード状のヘッドライトを得ていない。登場は2019年だが、フェイスリフト前との違いへ気付くには、直接並べなければ難しいかもしれない。

従来どおり、丸目の4灯と大きなラジエターグリルのフロントマスクや、伸びやかなシルエットに変わりはない。しかし、その内側には同社が「ウルトラパフォーマンス」と呼ぶ、新しいハイブリッド・パワートレインが隠れている。

ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)

駆動用モーターは、190psと45.8kg-mを発揮。8速デュアルクラッチATと、600psと81.4kg-mを生み出す4.0L V8ツインターボエンジンの間へ実装される。そのエンジンも従来とは別ユニットで、モノスクロール・ターボを2基採用し気筒休止機能を備えない。

バッテリーは43%増量の22.0kWh

荷室の床下に載る駆動用バッテリーは22.0kWhで、これまでのV6プラグインHVのフライングスパーから43%増量された。電気だけで走れる距離は、カタログ値で75km。これまでの2倍へ伸びている。

他方、四輪駆動で車重は実測で2570kgと、歴代のフライングスパーでは最重量となっている。そのかわり、前後の重量配分は48:52と好ましい割合に収まる。

ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)

電圧48Vで制御されるアクティブ・アンチロールバーや後輪操舵システム、圧縮・伸張時の精度を磨いたツインチャンバー・エアサスペンションも採用。スタビリティ・コントロールは書き換えられ、新しい電子制御のリミテッドスリップ・デフも組まれる。

タイヤ幅は、前が275で後ろが315となり、コンチネンタルGTと同値。試乗車のアルミホイールは22インチだった。トルクベクタリング機能はブレーキ制御によるものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ベントレー・フライングスパー・スピードの前後関係

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