EV凌駕の静寂 ベントレー・フライングスパー・スピード(2) 歴代超え訴求力をUK編集部が解説

公開 : 2025.06.18 19:10

小改良で783psのV8プラグインHVを得た、フライングスパー・スピード 伝統を感じさせる優雅なインテリア リムジンにふさわしい完璧な静寂 目を見張るスタビリティ UK編集部が試乗

豪華なリムジンにふさわしい完璧な静かさ

2024年にフェイスリフトを受けた、3代目ベントレーフライングスパー。その「スピード」最大のライバルは、メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンスだろう。

あちらもV型8気筒エンジンのプラグイン・ハイブリッドで、システム総合の最高出力は802ps。0-100km/h加速は、3.5秒がうたわれる。対して783psのフライングスパー・スピードは、車重が約100kg多くても、3.2秒と0.3秒も上回る。

ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)

190psの駆動用モーターのおかげで、最長75kmまでガソリンを燃やさず走行可能。パワーは限定的といえるが、市街地を完璧な静かさですり抜けられる。精緻なアクセルレスポンスも、豪華なリムジンにふさわしい。

右足を踏み込めば、勇ましいサウンドを控えめに響かせながら、V8エンジンが威力を発揮。駆動用モーターが巧みにトルクを補完しつつ、歴代のベントレーでは経験したことのないレスポンスでエネルギーが放たれる。2種の動力源の協調性も素晴らしい。

安定・円滑なコーナリング 目を見張るスタビリティ

対してブレーキペダルの感触は、回生ブレーキが機能する影響で、ベントレーへ期待するよりスポンジー。進行方向の交差点や渋滞を自動的に判断し、予測的に減速する機能は、力強く直感的な運転体験と調和できていないように思えた。

ステアリングは、適度な重み付けでレシオも程よい。コーナリングは至極安定・円滑で、明確に扱いやすい。ポルシェパナメーラのような一体感はないものの、フライングスパーでは求められていない特性といえる。

ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)

ホイールベースの長さと四輪駆動、ワイドなタイヤの接地面積により、スタビリティにも目を見張る。エアサスペンションは最も引き締まった状態でも、路面の凹凸を巧みに吸収。過度な硬さは感取されない。

指摘するなら、ステアリングにはもう少しメカニカルな手応えが欲しいところ。全長5316mmのリムジンではあるが、操縦性に一層の特徴があって悪くない。実力は見事だが、AMG S 63 Eパフォーマンスの方が、カーブでの軽快感は上手だ。

EQSを凌駕する静寂性 競合に勝る価格価値

走行中の静寂性は出色。110km/h時に計測した車内のノイズレベルは61dBAで、メルセデス・ベンツのバッテリーEV、EQSをも凌駕した。並外れた静けさといっていい。

快適性も極上レベル。ただし、22インチという大径ホイールが影響してか、荒れた路面での落ち着きが僅かに期待へ届いていなかった。唯一といえる、弱点かもしれない。

ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー・スピード・ファーストエディション(英国仕様)

英国価格は、22万6500ポンド(約4417万円)から。フェイスリフト前のW12エンジンを積んでいたスピードより、約1割上昇した。試乗車には約6万ポンド(約1170万円)のオプションも盛り込まれていたが、ライバルより価格価値には優れる。

駆動用バッテリーの充電だけで走れる現実的な距離は、市街地で約70km。ガソリンタンクの容量は80Lで、高速道路の巡航なら750kmは無給油で走り続けられる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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