【キャンパーのロングセラー】完成度で選ばれるキャブコン セキソーボディ・トム23とは

公開 : 2021.06.28 06:45  更新 : 2021.10.11 10:55

長く売れているキャブコン・キャンピングカー「セキソーボディ・トム23」を撮影。ベッドルーム、キッチンなど老舗ビルダーの作り込みをご紹介します。

全長4.9m未満 タウンエース・トラックがベース

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

キャンピングカーほど奥の深いものはない。

そのバリエーションは幅広いが、都市部でも現実的な大きさで、本格的な装備を備えるコンパクトなキャブコンは使い勝手がいい。

セキソーボディ・トム23は、ノーズから前席ドア部分まではタウンエース。そこから後ろはシェルデザイン。バンクヘッドは空気抵抗の少ない形状で、スマートな印象を与える。
セキソーボディ・トム23は、ノーズから前席ドア部分まではタウンエース。そこから後ろはシェルデザイン。バンクヘッドは空気抵抗の少ない形状で、スマートな印象を与える。    上野和秀

セキソーボディのトム23は、トヨタ・タウンエース・トラックをベースに、軽量なアルミ製ボディシェルを架装したもの。

発売から10年以上経っても売れ続ける魅力を、東京キャンピングカーショーの同社ブースで確認してきた。

全長4880mm、全幅1920mmというボディサイズは、ミニバンのアルファードより70mm短いが、全幅は70mm広い。

その車幅を活かして、広々としたダイネット/就寝スペースを確保。最後部には本格的なキッチンも備わる。

後ろ寄りの乗降ドアから車内に入ると、目の前にはキッチン、左にダイネット/就寝スペースが広がる。

車内は、清潔感のある開放的な空間で、シックな色の家具と明るいファブリックが心地いい。

就寝定員5人 使えるパッケージ

2列目シートは、後ろ向きの2人掛け。テーブルを挟んだ3列目シートは、前向きに配置。

さらに、左サイドにはベンチシートがレイアウトされ、最大7名でテーブルを囲むことができる。仲間を集めて楽しく過ごせる時期が来たら、週末になるのが待ち遠しくなりそうだ。

セキソーボディ・トム23の車内。ベッドを展開した状態や、トイレ・収納に使えるマルチルームも撮影することができた。
セキソーボディ・トム23の車内。ベッドを展開した状態や、トイレ・収納に使えるマルチルームも撮影することができた。    上野和秀

就寝スペースは、ダイネットのテーブルを外して2・3列目シートとベンチシートをスライドさせることにより、1820×1720mmのベッドスペースが簡単に出現。

キャブコンだけに、運転席上のバンクヘッドにも格納式ベッドが設けられる。それを引き出せば、1300×1850mmのベッドスペースが登場。使わない時は、寝具などを入れる収納として活用できる。

また、キッチンには、シャワータイプの蛇口が付いたステンレス製シンクが配され、その下には65Lの大型冷蔵庫/給排水タンク(各20L)が収まる。

オプションでキッチン下にスポットクーラーの取り付けが可能だ。

サイドウインドウは、結露が少ないアクリル2重窓で、網戸・シェードが備わる。窓上には扉付きの収納を左右2か所ずつ設置。また、外装の左サイドには便利な外部収納庫が用意されている。

なぜ運転しやすい? 軽量アルミボディ

セキソーボディは様々なキャンピングカーを手掛けてきた老舗ビルダー。1990年代にアルミボディのキャブコンをいち早く送り出し、ハイドロバックパネルなど独自の技術を開発してきた。

ハイドロバックパネルは、アルミシートと堅牢なアルミフレームを真空接着した構造体の間に、断熱材を組み合わせて1つのパネルとしたもの。

ダイネットからキッチンに向かって撮影。スポットクーラー、FFヒーター、外部電源引き込み、ソーラーパネル、エントランス・ステップなどのオプションも用意されている。
ダイネットからキッチンに向かって撮影。スポットクーラー、FFヒーター、外部電源引き込み、ソーラーパネル、エントランス・ステップなどのオプションも用意されている。    上野和秀

強度と断熱性能を両立し、軽量化を実現するセキソーボディの十八番といえる工法だ。これによりトム23は、1650kg(2WD)というミニバンなみの重量を実現している。

またハイドロバックパネルは、軽量で高い強度を備えるため低床設計が可能となり、車両の重心を下げることができる。山道や交差点を曲がる時にクルマの挙動を安定させるとともに、風を受けた時のふらつきも減らすわけだ。

パワートレインはタウンエースと同様で、DOHC 1500ccのガソリンエンジン(97ps)に4速ATの組み合わせ。駆動方式は2WD/4WDが選べるので、アクティブ派には心強い。今や不可欠な衝突回避支援システムも備わる。

価格は2WDのDXエディションが500万5000円、4WDのDXエディションが525万8000円。

ユーザーの声を反映して進化してきたビルダーだから、必要なものが巧妙に収められており、走行安定性も高い。そうした完成度の高さが、長く評価される魅力となっている。

なお、よりコンパクトなキャブコンが欲しいという方に向けて、全長4300mmながら本格的装備の姉妹モデル「トム23S」も用意されている。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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