【迷う】新型トヨタ・アクアとヤリス どう選ぶ 似ているが大違い

公開 : 2021.07.19 17:45  更新 : 2021.10.09 23:39

実は同じではなかった パワートレインを比較

次にパワートレインとパフォーマンスは、どう違うのか。

しかし、1.5Lの3気筒エンジンとモーターの出力は2台とも同じだ。エンジンは最高出力91ps/最大トルク12.2kg-m、フロントモーターの最大出力は80ps。

新型トヨタ・アクア
新型トヨタアクア    トヨタ

ただし、二次電池の容量が異なる。

ヤリスはリチウムイオン電池(4.3Ah)で、アクアはエントリーグレードのBにリチウムイオン電池(4.3Ah)を積むが、上位グレードは新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池(5.0Ah)を採用した。

この新型電池は、アクアの旧型と比較すると出力が2倍になっており、アクセル操作に対する応答性が良くなり、EV走行可能な速度域も拡大したという。

もしも、「ヨーイドン」で競争した場合、電池はアクアが有利だが、重量面ではヤリスが30kg以上も軽いため、軍配の行方は微妙なところではないだろうか。

そして燃費性能はどうかといえば、これはヤリスが勝っている。

ヤリスの燃費性能35.4-36.0km/L(WLTCモード)に対して、アクアが33.6-35.8km/L。

しかも、アクアの最高燃費は、リチウムイオン電池を搭載するエントリーのBグレードだ。

新型電池を搭載するグレードは車両重量がBグレードよりも、40-50kgも重くなっているのが敗因だろう。

走りの味付けでも差別化 意外と異なる2台

そして、走行の味付けも2台は異なるという。

ヤリスはあくまでも走る楽しみを優先しているが、アクアは上質さや快適さを重視している。静粛性も向上しており、高速走行時での会話明瞭度は15%向上したという。

トヨタ・ヤリス
トヨタ・ヤリス    トヨタ

また、「快感ペダル」をトヨタ初採用。これは、他社でいうところの「ワンペダル」で、アクセル/オフ時の減速力を高めることで、アクセル1つの操作で可能なスピード域を広げるもの。

アクセルとブレーキの踏み替え頻度が激減する。慣れれば、運転が非常に楽になる機能だ。

停まっている状態でのアクアとヤリスの違いもある。

それがアクアに全グレード標準装備となった給電機能だ。100Vの交流電流を1500Wまで使うことができる。

ガソリン満タンの状態であれば、一般家庭の約5日分の電力を供給可能だという。つまり、万一の災害時に電源車として使うこともできるのだ。

ここに容量の大きくなった新型バッテリーを採用した価値があるというわけだ。

最近は、自然災害も増えているため、こうした機能があるというのは便利というだけでなく、日々の安心にもつながるだろう。

それぞれに狙い 似ているようでしっかり違う

まとめてみれば、アクアの良いところは、「室内と荷室が広い」、「快感ペダル(ワンペダル)があって楽」、「給電機能がある」というもの。

逆にヤリスの良いところは、「走らせると楽しい」、「燃費性能に勝る」となる。

新型トヨタ・アクア
新型トヨタ・アクア    トヨタ

トヨタの開発者はメディア向けの説明会において「国民車として、日本にあったクルマを作りたかった。ヤリスは、操る楽しみが主眼であり、運動性能を重視しています。一方、アクアはダウンサイザーのお客様も多いので上質さや洗練の雰囲気を大切にしています」

「コンパクトカーセグメントは市場が大きいので、トヨタとしては2つのモデルで臨むということになりました」という。

ビジネスユースや、落ち着いて実用的なコンパクトカーが欲しいという人であれば、ヤリスではなくアクアということになるのだろう。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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