【トヨタの目論見どおり?】ヴェルファイアがアルファードに完敗したワケ

公開 : 2021.08.26 05:45  更新 : 2021.10.22 10:07

トヨタ販売体制変更で差が拡大

2018年以降も、アルファードヴェルファイアに比べて好調に売れ続けた。

2019年の1か月平均登録台数は、アルファードが5725台、ヴェルファイアは3054台だ。

トヨタ・アルファード
トヨタ・アルファード    トヨタ

比率に換算すると、アルファードはヴェルファイアの1.9倍に達した。

さらに2020年の1か月平均登録台数は、アルファードが7562台に増えて、ヴェルファイアは1500台まで半減した。アルファードの売れ行きは、ヴェルファイアの5倍に達する。

ここまで差が開いた背景にあったのは、2020年5月に実施されたトヨタの全国的な販売体制の変更だ。

従来はアルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店のみが販売したが、2020年5月以降はすべての店舗でアルファードとヴェルファイアの両方を扱うようになった。

その結果、今まではアルファードとヴェルファイアを両方とも販売していなかったトヨタ店とカローラ店でも、フロントマスクの変更で人気を高めたアルファードが好調に売れ始めた。

ネッツ店からも「長くヴェルファイアを使っていたお客さまが、最近はアルファードに乗り替えるようになった」という声が聞かれるようになった。

クラウンユーザーもアルファードへ

それにしてもフロントマスクの変更だけで、ここまで販売格差が広がるのか。

販売店に尋ねると別の理由も聞かれた。

クラウンからアルファードへ乗り換えるユーザーも多い(写真は現行クラウン)
クラウンからアルファードへ乗り換えるユーザーも多い(写真は現行クラウン)

「もともとアルファードを扱うトヨペット店は、法人営業が強かった。そのために企業の重役などがアルファードを使うようになり、政治家が愛用する様子もTVのニュースなどで流れるようになった。その結果、成功した人の乗るクルマとして、アルファードのイメージが向上した」

クラウンを専門に扱ってきたトヨタ店では「新たにアルファードを扱うようになると、クラウンから乗り替えるお客さまが増えた」という。

クラウンはトヨタ店の看板車種だが、2020年における1か月平均登録台数は1848台で、前年に比べると半減した。アルファードの24%にとどまる。

また販売店からは別の見方も聞かれた。

「アルファードはミニバンでは珍しく、以前から海外でも人気が高い。そのために中古車輸出も活発だ。また高価格車とあって、日本のお客さまもアルファードを中古で買おうとするから、数年後に手放す時の売却額も上昇した」

「高く売れることもアルファードが人気を得た理由だ」

中古車市場の人気は変動が大きく、現時点の高い売却額が、今後も継続するとは限らない。

それでも今までのアルファードは好条件で、売れ行きに貢献した。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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