【打倒ムーヴ・キャンバス?】ワゴンRスマイル いまスライドドア仕様を追加したワケ

公開 : 2021.08.28 05:45  更新 : 2021.10.12 08:47

スライドドアを備えた「ワゴンRスマイル」登場。ライバルになるのはやはりムーヴ・キャンバスと考察します。

仕様追加 メインターゲットは女性

2021年8月27日、スズキは同社の人気軽トールワゴン「ワゴンR」に、スライドドア仕様の派生車「ワゴンRスマイル」を追加し、2021年9月10日に発売すると発表した。

ワゴンRの初代モデルは、1993年に登場。当時の軽自動車の弱点であった室内の狭さを、車高を高くすることで克服し、現在では当たり前となっている軽トールワゴンの先駆けとなった存在である。

スズキ・ワゴンRスマイル
スズキ・ワゴンRスマイル    スズキ

その後も軽自動車規格の運転しやすいサイズに、想像を超える室内の広さ、そして乗り降りがしやすく楽に荷物を積むことができる使い勝手の良さなど、大人4人がゆったりとくつろげるパッケージで、これまでに470万人を超える多くのユーザーに愛されてきたモデルに成長を遂げている。

現行モデルはその6代目で、「ワゴンR」と「ワゴンRスティングレー」の2車種、3デザインを設定。

そこに今回、スライドドア仕様のニューモデル「ワゴンRスマイル」の追加が発表されたのだ。

ここで、現行ワゴンRシリーズのラインナップを整理してみよう。

まず、ベースモデルのワゴンRには、「FA」と「ハイブリッドFX」、「ハイブリッドFZ」の3グレードを設定。

ガソリンエンジンモデルとハイブリッドモデルの標準グレードである「FA」と「ハイブリッドFX」には、歴代ワゴンRのトレードマークともいえる四角いヘッドライトを中心とした、優しい印象のフロントマスクが採用されていて、万人に好まれるデザインとなっている。

一方で、ハイブリッドモデルの上級仕様「ハイブリッドFZ」には、上下が2段に分かれた切れ長のヘッドライトが採用されており、少しスポーティで男性好みの印象。

そして派生車としてラインナップされている「ワゴンRスティングレー」は、かなり目力の強い少しヤンチャなイメージのデザイン。

全車ハイブリッド仕様となるラインナップの上級モデル「ハイブリッドT」には、ターボが搭載されるなど、走りにもこだわりたいユーザーを意識したモデルとなっている。

そんな、「万人」、「男性」、「走り」のラインナップを揃えるワゴンRに、スズキが新たに追加するのは、「女性」を意識した派生車だ。

キーワードは「スライドドア」

現在の軽乗用車市場に投入されている車種は、約40車種にのぼるという。

その中で、軽ハイトワゴンの販売台数が増加しているとともに、スライドドア車の販売台数も年々増加。

スズキ・ワゴンRスマイル
スズキ・ワゴンRスマイル    スズキ

2018年度には、遂に新車販売の半数を超える結果となっているだけでなく、まだまだ人気は上昇傾向にある。

さらにスズキの調査では、軽ワゴンの購入を考えるユーザーのなかで、女性では半分、男性もあわせると4割を超える人々が、軽ワゴンのサイズ感でスライドドア仕様のモデルを希望しており、ニーズが高いことが明らかになったという。

スズキ広報部は今回、ワゴンRにスライドドア仕様を追加したことについて、次のようにコメントした。

「ワゴンRなどの軽ワゴンにお乗りいただいているお客さまから、『広さに不満はない』というお声をいただく一方、『スライドドアが欲しい』というご意見も多数頂戴しております」

「そういったお客さまのご要望にお応えするために、日常で使いやすいサイズのワゴンRをベースとしたスライドドア車を開発致しました」

また、クルマを購入したユーザーへの調査では、約6割がクルマを選ぶにあたって、最も重視しているのは「スタイル、外観」と回答。

SNSを利用して、さまざまな人たちが自分らしさという個性を発信し、それぞれに共感できる仲間とつながり合う世の中となっており、商品には多様な個性を満たすことが求められているとした。

それらの調査結果を受け、スズキは「ワゴンRの運転しやすい丁度いいサイズ感と、使いやすく広い室内空間」、「毎日使って便利で安心の装備」、「自分らしさを多用に表現できる、今までにない魅力的なデザイン」の3つを兼ね備えた、「これからの時代に向けた、自分らしさを表現できるわたしのための新しいパーソナルスライドドア」を作ることを目指したという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    先川知香

    Chika Sakikawa

    ツインリンクもてぎで見たMotoGPの一糸乱れぬコーナリングを見て、バイクでのサーキット走行に興味を持ち、モータースポーツの世界へ。乗り物を操作する事の楽しさに目覚め、モータージャーナリストに。愛車はトヨタ86/カワサキZ400/GASGAS TX200。大型自動二輪免許に加え、暇だったという理由で大型一種免許を取得した。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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