【打倒ムーヴ・キャンバス?】ワゴンRスマイル いまスライドドア仕様を追加したワケ

公開 : 2021.08.28 05:45  更新 : 2021.10.12 08:47

目指すはクルマを通じた「笑顔」

スズキは、ワゴンRスマイルの名前の由来を、「使われる方が笑顔になれるようなクルマ」。

「Smile」を文字って、スペシャル(S)マイ(mi)ルーム(Le)からマイスタイル、マイワゴンというコンセプトにつながっていると説明する。

スズキ・ワゴンRスマイル
スズキ・ワゴンRスマイル    スズキ

そして四角いワゴンでありながら愛着が持て、女性だけでなく男性にも喜んでもらえるオシャレなデザインを採用。

今までにない新しい日々の生活に寄り添い、乗ることで、所有することで、ユーザーの気持ちを豊かにする、まさにユーザーが新しい車との生活を笑顔で楽しめる、SNSで発信したくなるようなクルマに仕上げられたとし、今までの軽自動車では物足りない、自分のお気に入りを求めている多くのユーザーに喜んでもらえる1台となったと明言した。

これが、スズキの説明する今回、新型「ワゴンRスマイル」をラインナップに加えた経緯だ。

一方で、ワゴンRのサイズ感に、明らかに女性を意識した可愛らしい印象の外観や、スライドの採用など、コンセプトを聞けば聞くほどダイハツ「ムーヴ・キャンバス」を思い浮かべずにはいられないのが、実際のところである。

それもそのはずで、軽トールワゴン市場を牽引するライバルとして切磋琢磨してきたワゴンRとムーヴの販売台数の差は年々開いている。

2021年1月から6月におけるワゴンRの販売台数は3万236台、ムーヴは5万7761台とほぼ半数となっているのだ。

そして、そんなムーヴの販売台数の半数以上を占めているのが、ムーヴ・キャンバスなのである。

このことからも、ワゴンRスマイルは、明らかに打倒ムーヴ・キャンバスを狙ったモデルとなっている。

ムーヴ・キャンバスの刺客として?

スズキは、現在軽トールワゴン市場で独り勝ちともいえるムーヴ・キャンバスに対し、ワゴンRスマイルにどのような勝ち筋を見ているのだろうか。

スズキ広報部に聞いてみたところ、以下の回答が返ってきた。

ダイハツ・ムーヴ・キャンバス
ダイハツ・ムーヴ・キャンバス    ダイハツ

「ワゴンRスマイルは、特定の車種を意識して開発したクルマではございません。したがって比較する車種によって差別化のポイントは異なります」

「軽ワゴンと比較した場合は、軽ワゴン最大級の全高と室内高、衝突被害軽減ブレーキ(夜間歩行者検知機能、後退時ブレーキサポート、標識)、スライドドアの開口部の広さが挙げられます」

「また、軽ハイトワゴンと比較した際は、軽ハイトワゴンにはないサイズ感や、軽ワゴンサイズならではの運転のしやすさが挙げられます」

つまり、軽ワゴンの中では最大級の広々とした室内空間を持ち、使い勝手や安全装備もワンランク上。

軽ハイトワゴンと比べると、車内は少し狭くなるがその分取り回しはしやすいという、軽ワゴンと軽ハイトワゴンのさらに中間的存在としてのポジション確立を狙っているということなのだろうか。

そういわれてみれば、たしかに女性を意識した柔らかいデザインにはなっているのだが、カラーは比較的ハッキリとした男性でも躊躇なく選べるラインナップとなっている。

とは言ってもやはり、現在の軽トールワゴン市場を牽引するムーヴ・キャンバスのユーザー層がメインターゲットとなると見て、間違いないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    先川知香

    Chika Sakikawa

    ツインリンクもてぎで見たMotoGPの一糸乱れぬコーナリングを見て、バイクでのサーキット走行に興味を持ち、モータースポーツの世界へ。乗り物を操作する事の楽しさに目覚め、モータージャーナリストに。愛車はトヨタ86/カワサキZ400/GASGAS TX200。大型自動二輪免許に加え、暇だったという理由で大型一種免許を取得した。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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