【意外なほど運転が楽しい】トヨタ・ヤリス・クロスへ英国試乗 強力なメンバー登場

公開 : 2021.09.16 08:25

欧州上陸を果たした、ヤリス・クロス。優れた動的特性と燃費効率を両立させ、コンパクトSUVとして訴求力のある1台だと英国編集部は評価します。

英国ではトヨタで2番目の人気予想

text:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
人気に衰えはまったく見せない、クロスオーバー。自動車メーカーにとって、バンドワゴン効果を狙い、売上を伸ばすうえで外せないカテゴリーになっている。

コンパクト・クロスオーバーの分野では、トヨタは少し遅れを取っていた。だが、欧州でも認知度の高いコンパクトカーの名前を借り、車高を持ち上げたヤリス・クロスが投入された。

トヨタ・ヤリス・クロス・ダイナミック(英国仕様)
トヨタ・ヤリス・クロス・ダイナミック(英国仕様)

インパクトは大きい。英国では、通常のヤリスに次ぐ2番目の人気モデルになるだろうと予想されている。日本へは未導入ながら、2代目日産ジュークのライバルに相当する。

ヤリス・クロスが土台とするのは、ヤリスと同じTGNA-Bプラットフォーム。1.5Lのガソリン・ハイブリッドも共有している。だがサスペンションのストロークを長くし、兄貴分のRAV4とのつながりを感じさせるボディをまとっている。

特にフロントグリルやホイールアーチの処理は、RAV4での既視感がある。Bセグメントに属するクロスオーバーとしては珍しく、四輪駆動も選べる。

欧州においても、トヨタのハイブリッドSUVの1台として強力なメンバーになることは間違いない。ひと回りコンパクトで、独創的なルックスを持つクロスオーバーに生まれ変わるアイゴが2021年に追加されれば、そのラインナップは一層強化されるだろう。

今回英国で試乗したヤリス・クロスは、この地でのトップ・トリムグレードとなるダイナミック。英国価格は2万6465ポンド(396万円)が付けられている。オプションの四輪駆動だったが、こちらは2360ポンド(35万円)の別料金だ。

ハイペースでも驚くほど運転が楽しい

英国の場合、販売されるヤリス・クロスの半数を占めると予想されるのが、ミドルグレードのデザイン。こちらは、2万4140ポンド(362万円)に設定される。

英国導入を記念した、全部乗せのプリミエール・エディションも限定で用意された。こちらはお高めで、2万8185ポンド(422万円)からになる。

トヨタ・ヤリス・クロス・ダイナミック(英国仕様)
トヨタ・ヤリス・クロス・ダイナミック(英国仕様)

一般道へ出てみると、ヤリス・クロスはコンパクトSUVとしてはステアリングがダイレクトで、姿勢制御も良好。オリジナルのヤリスに通じる特長を持つ。郊外の流れの速い道でも、意外にも驚くほど運転が楽しい。

同時にヤリス・クロスが殆どを過ごすであろう、都市部の道との相性も良い。動的特性ではフォード・プーマに並べないとしても、日産ジュークよりは優れていると感じた。

トヨタとして最新版となるハイブリッドは、より性能を高めてあるが、エキサイティングさは低いまま。発進時は電気モーターだけだが、すぐに3気筒エンジンが目を覚ます。システムの完成度は高く、ヤリス・クロスのボディを苦もなく引っ張ってくれる。

0-100km/h加速は11.2秒。平均的な家族が、平均的な運転をするのに不足ない。日産ジュークやルノー・キャプチャーといった競合と、歩調を合わせる加速感だ。

CVTも大幅に改良を受けているが、アクセルペダルを深く踏み込むと、従来のように不機嫌そうなエンジンノイズが大きめに生じる。惰性走行に切り替わると、エンジンはすぐに停止する。

多くのクロスオーバー・ユーザーの場合、鋭い加速を求めることは稀なはず。気になる場面は限定的だと思う。

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