楽しさと完成度はクラストップ! トヨタ・ヤリス・クロスへ試乗 130馬力のHV追加で競争力強化

公開 : 2024.07.18 19:05

トヨタの売れ筋モデル、ヤリス・クロスが小改良 130psのハイブリッド追加 防音ガラス採用 乗り心地と操縦性の好バランス 競合を凌駕する運転の楽しさ 完成度の高い1台だと英編集部は評価

欧州の売れ筋モデル 130psのハイブリッド追加

流行の大きな波が来ている、コンパクト・クロスオーバートヨタは遅れ気味にヤリス・クロスを投入したが、実用性と燃費が評価され、欧州では売れ筋モデルへ躍り出た。

そんな人気者も登場から3年。モデル中期のフェイスリフトが施された。最大の変化が、英国では一部のグレードのみながら、130psのパワートレインが追加されたこと。従来の115psとの2択になった。

トヨタ・ヤリス・クロス(英国仕様)
トヨタ・ヤリス・クロス(英国仕様)

英国では、フェイスリフトを記念した上級グレードのプレミアエディションも期間限定で用意。これには、ツートーン塗装が設定される。

プラットフォームはトヨタのTGNA-Bで、ヤリスと同じ。1.5Lガソリンエンジンが主軸のハイブリッド・パワートレインも同じ。しかし四角いスタイリングと、樹脂製のフェンダーアーチ、30mm高い車高などが、ライトなSUV感を醸し出す。

AWD-iとトヨタが名付けた四輪駆動も選べ、駆動用モーターがリアアクスル側へ追加される。必要に応じてリアタイヤを回し、新雪の山道走行や、ロックフェスのぬかるんだ駐車場からの脱出を助ける。

ハイブリッド・システムには、2基の電気モーターが組み合わされている。トランスミッションは、e-CVTと表記されることも多いが、従来どおり遊星ギアを用いた動力分割機構だ。

駆動用バッテリーは電圧178Vのリチウムイオンで、約1.5km走れる電力を蓄えられる。基本的にはエンジンを補助するように、短時間だけ駆動用モーターへ電気を供給する。

防音ガラス採用 操作しやすいハードボタン

今回の小改良では、安全機能や、通常のヤリスとの差別化も強化。フロントバルクヘッドは吸音性が高められ、油圧エンジンマウントと排気系を更新。フロントとサイドのウインドウガラスは、防音仕様になった。これまでより、静かな車内を求めて。

サスペンションは、前がマクファーソンストラット式で、後ろはトーションビーム式。これは、ヤリスと基本的に同じ。アルミホイールは16インチから18インチまで設定。GRスポーツでは、スポーティなメッシュグリルが与えられる。

トヨタ・ヤリス・クロス(英国仕様)
トヨタ・ヤリス・クロス(英国仕様)

次に車内を見ていこう。前席側の空間は充分。シートとステアリングコラムの調整域が広く、快適な運転姿勢へ落ち着ける。タッチの良い布地など、内装素材は質感が高い。試乗車は、ダッシュボード後方からカタカタと振動音が聞こえてきたが。

リアシート側は、このクラスとしては若干狭め。高身長の大人は、窮屈かもしれない。荷室容量は360Lで、平均的な大きさだ。

インフォテインメント用タッチモニターは、標準で9.0インチ。ソフトウェアは最新のタッチ3システムが実装され、直感的に操作できる。エアコンなどには、実際に押せるハードボタンが用意されており、これも操作しやすい。

上位グレードでは10.5インチへ拡大し、画質はさらに良くなる。右側へショートカット・メニューが表示され、ワイヤレスでスマートフォンとミラーリングもできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事