【いい尽くせない素晴らしさ】GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダーへ試乗 後編

公開 : 2021.09.29 19:05  更新 : 2021.10.14 16:05

フェラーリを専門とするGTOエンジニアリング社が手掛けた、クラシカルなスパイダー。現代水準で仕上げられたカリフォルニアへ、英国編集部が試乗しました。

3.5LのV12エンジンで324ps

執筆:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
GTOエンジニアリング社は、カリフォルニア・スパイダーへオーナーの希望に応じたエンジンを搭載してくれる。排気量は3段階から選択でき、カムプロファイルには8種類が用意されている。マイルドな公道仕様から、ハードなサーキット仕様まで。

最高出力は、1番控えめなもので243ps。予算を準備できれば、400ps以上に引き上げることも可能だという。今回の試乗車は3.5LのV12エンジンで、最高出力は中間くらいの324psを発揮する。英国の高速道路には、パーフェクトな仕様に思える。

GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダー・リバイバル(欧州仕様)
GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダー・リバイバル(欧州仕様)

324psが賄う車重は、1050kgしかない。パワー・ウエイト・レシオは、992型のポルシェ911カレラS並み。気張る必要もなく、とてもたくましい。

運転し始めて、真っ先に夢中にさせてくれるのはエンジン。現在ステアリングホイールを公道で握れるクルマで、最も魅力的なサウンドの1つを奏でる。それでいて、適度に文化的でもある。

とても粘り強く、ギアを選ばずアイドリング状態からカリフォルニア・スパイダーを加速させる。3000rpmを超えたあたりから硬質な感じになり、勢い良く回転数を高める。最高出力が発揮されるのは、7000rpm付近になってからだ。

レース仕様のエンジンなら、最高出力の発生回転域は更に高くなる。エンジンの基本設計が1940年代であることを考えると、驚くべき性能だといわざるを得ない。

現代のターボエンジンのように、低回転から豊かなパワーが湧き出るわけではないが、充分に速い。ハードな質感と、回転の上昇とともに高まるサウンドトラックは、多気筒・自然吸気エンジンだけの気高い特長だ。

現代の技術で引き出した正確な操縦性

5速MTも、筆者がこれまで体験したものでベストの1つ。メカニカルな精度が極めて高い。緻密に仕上げられたギアを、上質なオイルの中で操っている感覚が、手のひらに伝わってくる。

正確にゲートを導けるが、レバーの動きは重い。クラシックカーと同様に、肩から動かす必要がある。

GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダー・リバイバル(欧州仕様)
GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダー・リバイバル(欧州仕様)

もし本物のフェラーリ250 GTカリフォルニアだったら、この程度を体験したところで降りていたかもしれない。運転を続けるなら、いくつかの動的な制限に耐える必要がある。

しかし、GTOエンジニアリングのカリフォルニア・スパイダーなら心配不要。高められたボディ剛性が、幸福を与え続けてくれる。

次に筆者が印象付けられたのは、余計な感覚が伝わってこないステアリング・フィール。タイヤはクラシカルなミシュランのラジアルパターンだが、フロントノーズの向きを正確に把握できる。

スカットルの振動も大幅に少ない。ステアリングホイールの中央で跳ねるサラブレッドも、小刻みに揺れてぼやけて見えることはない。

現代の技術で引き出された正確な操縦性のおかげで、ドライバーには自信が生まれる。ショーに展示されるクラシックとしてではなく、フェラーリらしく運転できる気が湧いてくる。

シャシーバランスも素晴らしい。グリップレベルは控えめだが、アンダーステアの兆候はない。ノーズをコーナーの頂点へ向け、アクセルオンでパワーを加える。

リアタイヤが受け止められる範囲でV12エンジンを解き放つか、それ以上でリアタイヤを滑らせるか。挙動はとてもシンプル。楽しく接しやすい。

この記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報部を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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