サーブ 99 ターボ 深刻な危機に放った窮余の策 ピクピク動く小さなブースト計 ターボ! ブースト!(3)

公開 : 2026.02.22 17:45

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深刻な危機を救ったギャレット・ターボ

1976年のサーブは、深刻な危機を迎えていた。主力モデルだった96は発売から16年が経過し、99も9年が過ぎていた。後に人気を掴む、900の登場は1978年。アメリカでは排気ガス規制が強化され、対応は不可避といえた。

しかしスウェーデン南西部、トロルヘッタンに拠点を置く小さなメーカーは、新エンジン開発の予算捻出が難しかった。トライアンフとの共同で、2.0Lエンジンの開発も模索されたが、現実的には簡単な計画ではなかった。

サーブ 99 ターボ(1977~1982年/英国仕様)
サーブ 99 ターボ(1977~1982年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

確かな一手を探す中、サーブの技術者が着目したのが、ギャレット社の新しいターボ。オルタネーターと同程度の大きさで、1500rpm程度の低回転域から穏やかにパワーを得られる特性は、スウェーデンの自動車メーカーにピッタリだった。

大きな改良なしでターボに耐えた99のエンジン

ターボエンジンの実用化へ向けて、サーブはラリークロス仕様の96へ試験ユニットを搭載。最高出力は140馬力以上といわれ、複数のイベントを戦っている。

ピストンとバルブ、カムシャフト、オイルクーラー、ラジエター、排気系などは再設計。他方、エンジンブロックも含め、殆どの部品は改良なしでターボの負荷に耐えることが判明したという。その詳細は、記録に残されていないが。

サーブ 99 ターボ(1977~1982年/英国仕様)
サーブ 99 ターボ(1977~1982年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

開発を率いた技術者、ペール・ギルブランド氏は、ブースト圧を抑え燃費と馬力を両立させるアイデアを考案。オートマティック・パフォーマンス・コントロール(APC)と呼ばれる、今では一般的なブースト圧の制御システムを導入し、洗練性も高めている。

サーブは、BMWポルシェなど、性能重視のブランドとは異なる特徴を強みとした。「ターボは、望んだ時にだけ機能します。追い越し時にはモンスター級のパワーを得られますが、より安全に楽しく運転もできるのです」と主張している。

ピクピク動く小さなブースト計の思い出

99 ターボは1978年に発売され、ユーザーの気持ちを強く掴んだ。筆者が子どもだった頃、父へ連れられ、ブラックの99 ターボへ試乗した日曜日を今でも忘れない。

自分が座ったのは後席。助手席には営業マン。父がアクセルペダルを踏み込むたび、小さなブースト計がピクピクと反応した。それ以来、ターボの虜になった。

サーブ 99 ターボ(1977~1982年/英国仕様)
サーブ 99 ターボ(1977~1982年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

今回の99 ターボは、オリジナル度が高い1979年式。クリス・フォックスリー氏は、新車で購入して以来、大切に維持してきたという。ドアはガシンと閉まる。ステアリングホイールを握った筆者は、往年の思い出が一気に蘇った。

フォックスリーも幼い頃からサーブ・ファンで、これまで15台を所有してきたとか。その中で、控えめなスポイラーが載ったこのクーペは、1番のお気に入りだと認める。

記事に関わった人々

  • 執筆

    デイモン・コグマン

    Damon Cogman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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