油断は禁物! フォード・シエラ RSコスワース Gr.Aレーサーそのままの巨大ウイング ターボ! ブースト!(4)

公開 : 2026.02.22 17:50

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グループAへ好適だった後輪駆動のシエラ

確かに、フォード・シエラはベルギーの工場で量産されたかもしれない。だが、高性能なRSコスワースのパワートレインを開発したのは、英国のレース用エンジンビルダー、コスワースだった。英国代表へ選出して、間違いではないだろう。

シエラ RSコスワースが1985年のスイス・ジュネーブ・モーターショーで発表される前には、MGメトロ・ターボが売られていた。少量生産のスポーツカーメーカー、TVRもターボ仕様をラインナップしていた。とはいえ、いずれも代表格とはいえないと思う。

フォード・シエラ RSコスワース(1986~1987年/英国仕様)
フォード・シエラ RSコスワース(1986~1987年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

シエラへコスワース・エンジンが載るきっかけとなったのは、当時のツーリングカーレース、グループAカテゴリーへの参戦が検討されたため。5000台の量産車を提供するという規定へ合致させるうえで、後輪駆動レイアウトを持つシエラは好適だった。

高剛性の3ドアハッチバックに203ps

シエラの発売は1982年で、販売促進にも迫られていた。フォードは既に、シエラの北米仕様、メルクール XR4Tiに2.3Lターボ仕様を擁していたことも、理由になった。ボディシェルは、5ドアではなく、剛性の高い3ドアハッチバックが選ばれている。

エンジンのベースは、鋳鉄ブロックのピントユニットで、16バルブのアルミ製ツインカムヘッドを搭載。グループAの排気量規定、2.0Lへ収めつつ性能を引き上げるのに、ギャレット社製T3ターボの採用は当然の判断だった。

フォード・シエラ RSコスワース(1986~1987年/英国仕様)
フォード・シエラ RSコスワース(1986~1987年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

果たして、最高出力は203ps/6000rpm。28.2kg-m/4500rpmの最大トルクを獲得し、ボルグワーナー社製5速MTとビスカスカップリング式LSDが組まれ、0-100km/h加速6.5秒という動力性能を得ている。最高速度は、239km/hに届いた。

レーサーとイメージを共有する巨大ウイング

シャシーへ手を加えたのは、フォードのスペシャル・ビークル・エンジニアリング(SVE)。前がマクファーソンストラット、後ろがセミトレーリングアームのサスペンションは、ダンパーとスプリングが専用品に。ステアリングもクイック化された。

ブレーキは、前が直径283mmのベンチレーテッドディスクと4ポッドキャリパー。新しいデザインの17インチ・アルミホイールで、足元が飾られた。

フォード・シエラ RSコスワース(1986~1987年/英国仕様)
フォード・シエラ RSコスワース(1986~1987年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

塗装色はブラック、ダイヤモンド・ホワイト、ムーンストーン・ブルーの3色。テールゲートの巨大なホエールテール・ウイングは、112km/hで20.4kgのダウンフォースを生み出し、フロントやサイドのスカートもグループAレーサーとイメージを共有した。

車内には、レカロシートと小径なステアリングホイールを採用。チルト式サンルーフで、上質感も狙われている。タコメーターの内側には、小さなブースト計があしらわれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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