ウェルズ・ヴェルティージュ 試作車へ試乗 フォード製2.0L NAをミドシップ 後編

公開 : 2021.11.16 08:26

アシストのないステアリングが生む喜び

スポーツカーらしい加速を楽しみたいなら、高回転域まで引っ張りたい。試作車とはいえ、極めて軽快で速く、機敏に走る。ウェルズによれば、スロットル・マッピングは未完成だという。パワー感を高めたいと話していたが、彼なら難しくないだろう。

ステアリングにもブレーキにも、パワーアシストは付かない。それでも、超軽量ホイールと理想的なペダル配置で、すぐに操作には慣れると思う。

ウェルズ・ヴェルティージュ・プロトタイプ(英国仕様)
ウェルズ・ヴェルティージュ・プロトタイプ(英国仕様)

フロント側には、280mmという大きなディスクが組まれている。ペダルの踏み始めに少し力を加える必要があるが、すぐに強力な制動力が引き出せる。そこから踏む力に合わせて減速感が強まっていく。その一致は素晴らしい。

アシストのないステアリングも、喜びを与えてくれる。ダイレクトにつながった手応えがある。ただし、ウェルズは少しダイレクト感が強すぎると考えており、レシオは少し落とされるようだ。それでも、パワーアシストの必要性は感じなかった。

小さな少量生産のスポーツカーだから、乗り心地には期待できないとお思いかもしれないが、バーティジは違う。エンジニアとしての技術力が、ここにも表れている。

コーナーではほとんどボディロールを示さないにも関わらず、路面の隆起部分などをしなやかにいなしてくれる。速度域が高まっても変わらない。

ブリティッシュ・スポーツカーの価値を現在に

グリップ力も素晴らしい。ヴェルティージュはS字コーナーをバランスよく滑らかに通過し、ホイールベース内に質量の大部分が収まっていることのメリットを実感させてくれる。見た目の通り、流暢に素早く運転したいという気持ちにさせられる。

試乗した日は路面が濡れていたが、コーナリングは終始安定。路面を問わず軽快に回頭してくれ、ニュートラルな挙動のままだった。

ウェルズ・ヴェルティージュ・プロトタイプ(英国仕様)
ウェルズ・ヴェルティージュ・プロトタイプ(英国仕様)

ウェルズ・ヴェルティージュの能力や完成度には驚かされる。リー・ノーブル氏が優れたハンドリングマシンを少量生産し、大手メーカーに対抗し始めた時の印象と重なる。オールドスクールなブリティッシュ・スポーツカーの価値を、現在に蘇らせようとしている。

強固なシャシーは無粋な振動を発せず、ダブルバルクヘッドで、過大なメカノイズも遮断できている。しなやかなサスペンションは、現代水準での乗り心地を与えてくれる。しかもハンドリングは素晴らしい。

この小さなスポーツカー、ウェルズ・ヴェルティージュのオーナーになれるのは、今のところ1年間に25名づつ。自分もその1人に加わりたいという方は、早めに行動した方が良いだろう。開発者のウェルズとホールも喜ぶはずだ。

ウェルズ・ヴェルティージュ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万〜5万ポンド(620〜775万円/予定)
全長:3994mm
全幅:1752mm
全高:1142mm
最高速度:225km/h(予想)
0-100km/h加速:4.8秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:815kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒2000cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:210ps
最大トルク:21.4kg-m/6200rpm
ギアボックス:6速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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