ウェルズ・ヴェルティージ 試作車へ試乗 フォード製2.0L NAをミドシップ 前編

公開 : 2021.11.16 08:25

新しい英国ブランドによる、新しいスポーツカーが誕生。量産間際の試作車へ、英国編集部が試乗しました。

ディヘドラル・ドアに感じる高い技術力

執筆:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ウェルズ・ヴェルティージの車内へ、筆者の小さくない身体を滑らせる。ドライバーズ・シートはタイトだ。ディヘドラル・ドアを閉めると、今までにない特別なクルマに乗ったという実感が湧く。

このクルマを製作したのは、技術者と起業家という2人の熱狂的な自動車ファン。これまでに5年半の時間が費やされおり、高い技術力を感じ取ることができる。3世代目のプロトタイプだというが、まだドアの仕立ては目指す水準には届いていないという。

ウェルズ・ヴェルティージ・プロトタイプ(英国仕様)
ウェルズ・ヴェルティージ・プロトタイプ(英国仕様)

2016年以来、2人は英国東部のソウザンの町でスポーツカーの開発に取り組んできた。フォードの2.0Lユニットとトランスミッションをミドシップする、オリジナルモデルの設計とデザインに。

駆動系は既存部品から吟味して選定されているが、シャシーやサスペンションなどの設計から製作、ボディのデザインまで、2人が進めている。バーティジという車名の決定も。

目標は2022年の半ばから、年間25台のペースでこの小さなクルマを製造することだという。想定している値段は、英国で4万ポンド(620万円)から5万ポンド(775万円)だ。

この手の少量生産のオリジナルモデルは、開発が不十分だったり、組み立て水準が低かったり、非現実的な価格設定だったりということが多い。だが、ウェルズは違う。スタイリングの完成度を見れば、その一端が理解できると思う。

理想的な1台がないなら自分でつくろう

ヴェルティージはあらゆる角度から見て美しい。数か月前のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでこの姿が発表され、多くの人から優れた反応を得たというが、それも納得できる。

大きなディヘドラル・ドアは、隠れたヒンジで滑らかにスイングする。きれいに閉まり、ロックされる。ドアの開閉でクルマの印象が良くなることがあるが、これも同様だ。

ウェルズ・ヴェルティージ・プロトタイプ(英国仕様)
ウェルズ・ヴェルティージ・プロトタイプ(英国仕様)

このようなメカニズムを設計し、実際に機能させることは、メルセデス・ベンツ級の大企業でも簡単な仕事ではない。ヴェルティージの仕上がりに、強い期待を持たせてくれる。

ステアリングコラムは上下だけでなく、前後方向にも調整できる。メーターパネルも一緒に動き、ステアリングホイールのリムでメーターが隠れる心配はない。こんな部分まで、しっかり考えられている。

ヴェルティージを作るに至ったきっかけは、起業家のロビン・ウェルズ氏が、8年前にスポーツカーを買いたいと考えたことだった。英国製モデルを検討したが、理想的な1台に出会うことができなかったという。

彼にはアイデアがあり、生み出すのに充分な資金もあった。ないなら自分でつくろうと、決めたのだ。

ウェルズは、マクラーレン12Cやロータス・エボーラなど、複数のモデルを所有した経験から、スタイリングのイメージを膨らませた。芸術的な才能も備えていることに、疑いはない。レトロなデザインを避けつつ、流麗なボディを描き出した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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