【ロータス・エミーラ同乗試乗】後編 80セットほどから厳選したタイヤ 驚くほどしなやかな乗り心地

公開 : 2022.01.23 18:30

路面と喧嘩しないのが理想のドライビング

このコースの路面は非常にスムースだが、それでも想像できなかったくらいしなやかな乗り心地を感じられた。カーショウによればそれも織り込み済みで、ツアーシャシーではそれが際立っているが、スポーツシャシーでも乗り心地に優れているという。どちらも常に、ロータスの流儀に沿った走りをみせる。それは、ロータスの購買層が圧倒的に好むものだ。

電動アシストのパワーステアリングが主流となった時代にあって、エミーラがフィーリングに勝る油圧アシストを採用した点についてはどうか。カーショウ曰く、そこはクルマとの一体感を重視したらしい。アキュラシーとは別の価値観で、明確にするのは難しいが、エミーラを運転すれば間違いなくわかるという。早くそれを体験してほしい、というのが彼の偽らざる心境といったところだ。

乗り心地、スタビリティ、アジリティのすべてが高レベル。自分で走らせるのが待ち遠しい。
乗り心地、スタビリティ、アジリティのすべてが高レベル。自分で走らせるのが待ち遠しい。    Max Edleston

楽しい時間も、残念ながら終わりが近づいてきた。電装系のエンジニアたちが、そろそろテスト車両を返してほしそうにしている。この小さなサーキットを、われわれは20周以上走っただろうか。カーショウはわたしが走らせるよりずっとハイペースでラップを重ね、意図的にバランスを崩してみせた場面もあったが、全般的にはエミーラが持って生まれたスタビリティと、それを回復する速さを実感させるテストドライブとなった。

カーショウのなめらかで、迷いも慌ただしさもないドライビングを、すっかり堪能させてもらった。このクルマのレスポンスが、彼の走らせ方に合わせて作られているのは間違いないところだ。

遮断ゲートをくぐってクルマを戻しにいく道すがら、カーショウはなぜスムースさが重要な意味を持つか説明してくれた。「レースではいつもそういう走らせ方を心がけていました。というのも、ロータスのマシンは決してムキになって走らせる必要がないからです。そういう作り方をしています」。

そして、彼はこう続けた。「ロータスでは、ドライビング中に起こることはすべて、車体の四隅にあるラバーの小さな接地面に依存していると考えています。そこと喧嘩するようなドライビングをしなくてもいいのではないでしょうか」。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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