フォードE-トランジットへ試乗 269psの純EV商用バン 航続距離315km

公開 : 2022.02.04 08:25  更新 : 2022.08.08 07:17

欧州で働くクルマとして支持を集める、フォード・トランジット。純EVの大型バンを英国編集部が評価しました。

このクラスで最もパワフルなモデル

フォード・トランジット・シリーズは、英国フォードにとっての売れ筋モデル。2021年では、英国で最も多くを販売したモデルとして、記録を残したほど。ブランドにとって、とても重要な意味を持っている。

欧州では、自動車の電動化が急速に進んでいる。クルマを使う各企業も、環境に優しいというイメージを醸成したいと考えている。フォードを代表するトランジットは、純EVである必要が出てきた。そこで誕生したのが、E-トランジットだ。

フォードE-トランジトット 269ps リーダーL2 H2(欧州仕様)
フォードE-トランジトット 269ps リーダーL2 H2(欧州仕様)

電動だからといって、能力を抑制しないのがフォード。駆動用モーターの最高出力は上位グレードで269psもあり、E-トランジットは現在英国で売られているこのクラスのバンとして、最もパワフルなモデルとなっている。

ちなみに、1つ下のグレードでも183psある。最大トルクは、どちらも43.8kg-mとたくましい。

現在の純EVを俯瞰してみると、商用車として最高出力を2段階から選べるモデルは少ない。さらにボディスタイルは25種類が用意され、その独自性を際立たせている。

ホイールベースは、ショート、ミディアム、ロングの3種類。ルーフ高も2種類あり、車両総重量は4.25tまで、3段階に分かれている。シングルキャブのトラックもある。英国で購入できる純EVの商用車としては、最も幅広い選択肢が用意されている。

コイルのリアサスに12インチ・モニター

多くの要求に答えてくれそうなE-トランジットだが、選べないコンポーネントとなるのが、駆動用バッテリー。実容量で68kWhの一択で、航続距離は最長315kmが得られる。市街地での配送などなら、基本的にまかなえるだろう。

もし充電が切れても、最高115kWの急速充電器にまで対応。最短34分で、残量15%から80%まで蓄えられるから、お昼休憩に済ませることも可能だ。

フォードE-トランジトット 269ps リーダーL2 H2(欧州仕様)
フォードE-トランジトット 269ps リーダーL2 H2(欧州仕様)

駆動用バッテリーとモーターは、リアアクスル側の底部に搭載されている。バッテリーは重いものの、E-トランジットの最大積載量は1758kgまで対応。車両総重量が3.5tのモデルの場合、1tの荷物を運ぶことができる。

純EV化されたE-トランジットだが、見た目は内燃エンジンで走るトランジットと基本的に変わりない。車体の下側まで覗き込めば、リアサスペンションがコイルスプリングに変わっていることに気付ける。ディーゼル版は、リーフスプリングだった。

ドアを開くと、通常のトランジットとの違いは大きい。マスタング・マッハEと同じ、12.0インチのタッチモニターがダッシュボードに奢られている。

フォードがシンク4と呼ぶ、コネクティビティ対応のOSで作動し、エンターテインメントやナビ、天気情報などを提供してくれる。このOSは、無線通信でのアップデートも可能だという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョージ・バロウ

    George Barrow

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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