秘密の保管庫に眠る欧州フォードの秘宝(前編) マニアックなラリーカーに1台限りのプロトタイプも

公開 : 2026.02.07 11:25

英国のとある倉庫には、欧州フォードの歴史的な車両がひっそりと保管されています。かつて人気を博したファミリーカー『コルティナ』や開発中止となった幻のモデルなど、印象的なコレクションの一部を紹介します。

AUTOCARがスポンサーとなったラリーカーも!

英国エセックス州ダゲナムにあるフォードのエンジン工場の近くには、同社が誇る貴重なコレクションが数多く保管されている。

その内容は、1台だけ製作されたプロトタイプや生産終了した人気モデルなど多岐にわたる。保管車両がイベントやプロモーションに用いられることもあるようだ。

AUTOCAR英国編集部は、フォードが保管している貴重な車両を見学する機会を得た。
AUTOCAR英国編集部は、フォードが保管している貴重な車両を見学する機会を得た。

AUTOCAR英国編集部はフォードに招待され、このコレクションを独占的に見学することができた。特に印象的だった車両をいくつか紹介しよう。

フォード・コルティナ・クルセイダー(1982年)

クルセイダーは1982年に生産終了となったコルティナの最終モデルだ。最高出力72psの1.6Lピントエンジンを搭載し、最高速度は150km/hに達した。1982年当時の価格は5435ポンドで、現在の価値に換算すると1万9000ポンド(約400万円)に相当する。もう少しでモンデオを購入できる金額だ。

販売台数3万台と大きな成功を収めた。実際、英国では今日に至るまでフォードの特別仕様車として最も売れたモデルであり、多くの人がコルティナの後継車であるシエラよりもこちらを選んだ。これは、メーカーの意図とはまったく異なる結果だった。

フォード・コルティナ・クルセイダー(1982年)
フォード・コルティナ・クルセイダー(1982年)

フォード(ファーガソン)カプリ4×4(1971年)

スポーツクーペのカプリに四輪駆動モデルの計画があったことはあまり知られていない。プロトタイプの域を出ることはなかったため、知名度が低いのも当然だろう。試験のために17台が製作されたが、現存しているのは1台だけのようだ。それが、この写真に写っている車両だ。

フォード(ファーガソン)カプリ4x4(1971年)
フォード(ファーガソン)カプリ4×4(1971年)

エンジンは、おなじみの3.0L V6エンジンを搭載。通常は160psを発生するが、ファーガソン・フォーミュラ4WDシステムの追加重量に対応するため、250psにチューンアップされている。また、プロトタイプでは全車オートマティック・トランスミッションが搭載されていた。「日曜にレースで勝ち、月曜に売れる」という方程式に従い、ラリークロスイベントに出場する予定だったが、その構想は完全に立ち消えになったようだ。残念。

フォード(ファーガソン)カプリ4x4(1971年)
フォード(ファーガソン)カプリ4×4(1971年)

フォード・エスコート・メキシコMK1(1970年)

メキシコは、ロンドン・メキシコ・ラリーでのフォードの勝利を記念して発売された。当時としては優れたパフォーマンスを発揮し、0-97km/h加速を10.7秒で達成、最高速度は160km/hだった。1.6Lエンジンは最高出力86ps /5500rpm、最大トルク12.7kg-mを発生した。

車両重量はわずか850kgで、軽快な走りが魅力だった。人気のパッケージとなり、4年間で1万352台が販売された。1970年の価格は1150ポンド、現在の価値で1万8000ポンド(約380万円)に相当するが、これは現代のフィエスタSTよりわずかに安い程度だ。フィエスタSTは「大衆向け高性能車」という観点では、おそらくメキシコの精神的後継車と言えるだろう。

フォード・エスコート・メキシコMK1(1970年)
フォード・エスコート・メキシコMK1(1970年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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