第二のテスラに? 米EVメーカー「リビアン」とは何者 投資家が熱狂するワケ

公開 : 2022.02.10 05:45

第二のテスラともいわれる米EVメーカーの「リビアン」。注目されるようになった背景を解説します。

株式上場で注目の的に

「リビアンとは、どんな会社なのか教えてほしい」

去る2021年11月11日、日本のテレビやネットなど、さまざまなメディアから筆者に問い合わせが来た。

リビアンR1T
リビアンR1T

なぜ、この日なのかといえば、EV(電気自動車)ベンチャーのリビアン・オートモーティブが米ナスダック市場に上場し、時価総額が10兆円を超える場面があったからだ。

アメリカの各種報道によると、ナスダック上場企業の上場初日の時価総額としては、過去6番目の高額だという。

なぜ、これほど高値をつけたのか?

背景にあるのは、ESG投資によるEVバブルの後押しだ。

ESG投資とは、財務情報だけではなく、環境、ソーシャル(社会性)、ガバナンス (企業統治)を加味した投資を指す。

この環境というキーワードから、カーボンニュートラルにつながり、そしてEVベンチャーへの投資や集まる、という図式が出来上がった。

テスラも時価総額で、トヨタを初めとした日系全メーカーの合計値を超える規模まで拡大するなど、世はまさにEVバブル真っ只中である。

だからこそ、投資家とすればこの時期、「第二のテスラ」を探そうと思うのは当然だ。

そこにちょうど、リビアンがハマった、というイメージだろう。

では、リビアンはこれから、テスラを猛追することができるのだろうか?

リビアンとは何者?

世界各国で「テスラの再来か?」と称されるリビアンは、いったい何者なのか?

リビアンは、米フロリダ州生まれのエンジニア、ロバート・スカーリンジ氏が2009年にメインストリームモータースを設立し、2011年にリビアン・オートモーティブに社名変更した、今年で創業11年目の企業である。

リビアンR1S
リビアンR1S

2011年といえば、アメリカではオバマ政権の初期にあたる。

オバマ大統領の目玉政策といえば、「グリーンニューディール」がある。

それに伴い、米エネルギー省は、次世代車をアメリカ国内で製造する企業を支援するため、10年間の低利子融資を実施した。

これに、日産フォード、テスラ、そしてフィスカーが申請して許可を得た。その額は、1社あたり数百億円~数千億円に上った。

この資金が、その後のテスラ急成長の基盤となる。

このほか、米エネルギー省は、返済不要の補助金によるエネルギー関連政策も施行し、EVやリチウムイオン電池開発を行うベンチャー企業に対して数十億円単位で税金をばらまいた。

こうした、2010年代前半のEVバブル期には、リビアンが表舞台に出てくることはなかった。

当時、筆者はアメリカ国内でテスラを筆頭とした、さまざまなEVベンチャーを定常的に取材していたが、リビアンとの接点はなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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