シトロエンで100%エレクトリック! E-C4試乗 乗り味は「エンジン車以上に個性的」

公開 : 2022.02.12 19:45

ハイドロ的な乗り心地を味わう

シャシーにはC5エアクロスで定評のプログレッシブ・ハイドローリック・クッションを採用している。

構造は昔のハイドロニューマチック(ハイドロ)とは別物で、ショックアブソーバー内のダンパーシリンダーを2つに増やし、第2シリンダーは大入力時のみ働く。本来のシリンダーは減衰力を抑えられるので、ソフトな乗り心地を提供できるというわけだ。

シトロエンE-C4シャインの後席内装
シトロエンE-C4シャインの後席内装

現役GSユーザーである自分に言わせれば、ハイドロとの違いはある。ひとことで言えば、金属バネとハイドロを併用した感触だ。

でも長年シトロエンに接していない人は、蘇ったハイドロだと思うはず。

特にうねりを通過した後の、ゆったりした揺れがそれっぽい。

ただしその揺れは、エンジン車のC4のほうがわかりやすい。E-C4は重さに合わせてスプリングを固めているようで、重厚なのである。

それでも高速道路なら、時間をかけてショックを収束するしぐさがわかる。GSやBXより、エグザンティアやC5に近いフィーリングと言える。

E-C4の「新しさ」とは?

ここで特筆すべきは、エンジンの響きがないこと。ハイドロの乗り味は、海上や空中の乗り物に例えられることが多いけれど、それになぞらえればE-C4は、大きな鳥の背中に乗って滑空しているような雰囲気。

この点ではエンジン車以上に個性的なのである。

CHAdeMOの急速充電器にも対応。50分でバッテリー容量の約80%までチャージできる。ウォールボックスタイプの6kW普通充電器なら満充電まで9時間(50km走行分なら1.5時間)だ。
CHAdeMOの急速充電器にも対応。50分でバッテリー容量の約80%までチャージできる。ウォールボックスタイプの6kW普通充電器なら満充電まで9時間(50km走行分なら1.5時間)だ。

ハンドリングは、クイックなターンインはエンジン車に似るものの、その後は他のシトロエンの前輪主導でリアが追従する挙動とは明らかに違い、車体中心を軸にくるっと旋回するようなフィーリングを届けてくる。

多くのEVに共通するこの独特の挙動を薄め、エンジン車のフィーリングに近づけようとしているクルマもある。でもE-C4はそうではない。

シトロエンはいつの時代も、独創と革新で僕たちを驚かせてきた。E-C4はその伝統を受け継ぎ、電動ならではの新鮮な移動体験を表現してきたと感じられたのだ。

エンジンがモーターに変わっても、このブランドの思想は揺るぎないことがわかった。

シトロエンE-C4 スペック

シトロエンE-C4シャイン 主要諸元

価格:465万円
全長:4375mm
全幅:1800mm
全高:1530mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
航続可能距離:405km(WLTCモード)
車両重量:1630kg
パワートレイン:モーター+バッテリー
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:26.5kg-m/300-3674rpm
ギアボックス:1速固定式
駆動方式:前輪駆動
最低地上高:170mm
乗車定員:5名

シトロエンE-C4の前席内装
シトロエンE-C4の前席内装

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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