DS9 詳細データテスト じつにリラックスした乗り味 優れた質感 パフォーマンスと驚きは足りない

公開 : 2022.02.12 20:25  更新 : 2022.04.23 12:07

DSブランドのフラッグシップはフランスの高級車らしい仕立てで、じつに穏やかでなめらかな乗り味ですが、PHEVに期待される動力性能や電力走行距離は不足し、スポーティな走りは苦手。もう少し驚きがほしいところでした。

はじめに

DSオートモビルが独立ブランドとなって、7年ほどの月日が流れた。まだ歴史は短いが、ハイエンドのコンパクトカーやファッション性の高いクロスオーバーハッチバック、車高を上げたデザイン重視のシューティングブレイク、高級SUVなどさまざまなジャンルに参入してきた。しかし、ひとびとが復興を期待するようなジャンルのモデルを投入することはなかった。そう、今までは。

それは1955年に誕生したシトロエンの象徴的な一台、DS19へのリスペクトゆえだろう。フランスのプレミアムブランドたるDSの存在は、このクルマなしには考えられない。そんな彼らがついに、思い切って大型サルーンを発表した。それがDS 9だ。

テスト車:DS 9 E-テンス 225 パフォーマンスライン・プラス
テスト車:DS 9 E-テンス 225 パフォーマンスライン・プラス    MAX EDLESTON

長らく待たされたクルマではあるが、DSのモデル戦略的には2015年時点ですでに予定されていた。もちろん、ひとつにはフラッグシップとしての意味合いが大きい。DSが持ちうる先進技術と、到達しうる最高の魅力のシンボルとしての役目を担うものだ。

さらに重要性を高めているのが、これが中国で生産されてグローバルに販売される最初のDS車だという事実である。フランスの高級車ブランドの最上位モデルが中国の工場から世界へ送り出されるという事実に、フランスの保護貿易論者たちは驚くことだろう。憤慨さえするかもしれない。

当初、2019年4月に計画されていたモーターショーでの公開が、PSAとFCAの合併交渉の余波で延期されるも、その予定もまた世界的なパンデミックの影響で変更され、その後は昨年の半導体不足によりデリバリーが遅れている。

とはいえ、2021年4月に英国で発売された、この謎めいた個性的な高級セダンをついにテストする機会がやってきた。そのルックスと並んで興味深いいくつかのテクノロジーも、実際に試すことができる。その実力は、果たしていかなるものだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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