直6エンジンはM4譲り BMW M2 クーペ 試作車へ試乗 450psに1650kgか? 前編

公開 : 2022.06.26 08:25  更新 : 2022.08.08 07:08

ドライブトレインはM3やM4譲り

前後アクスルやシャシーの補強ブレース、トランスミッション、アクティブLSDなど、ドライブトレインの由来は教えてくれた。ターボチャージャーで過給されるS58型の直列6気筒エンジンも。

「(増えても良いという)重量に関する決定で、M3やM4が搭載するコンポーネントを自由に使用することが可能になりました。実際、わたしたちはそれを実施しています。非常に優れていると知っていたので」。エッシュが微笑む。

BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)
BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)

「エンジンは若干デチューンされています。最高出力はM4と同じではありません。先代のM2 CSと同じ水準(450ps)だと考えてください」

「ステアリングとリアのディファレンシャル、スタビリティ・コントロールは、設定を変更しています。M4より110mm短い、M2のホイールベースへ対応させるために」

「フロント側には引き締めた専用のサスペンション・スプリングを組み、ターンイン時の反応を鋭くしています。またリアにも柔らかいスプリングを組むことで、コーナー中ほどでの挙動を機敏にしています。楽しいと感じられるように」

ハードウエアの大きな変更点は、このスプリング程度のようだ。「M3ツーリング用に開発したアダプティブダンパーも採用しています。柔らかいリア・サスペンションに掛かる横方向の負荷を受け止めることが目的です」

彼の説明を聞くと、M2はM4よりひと回り小さい、双子の兄弟のように聞こえてしまう。開発に数年掛かるという事実が、不思議に思えてしまう。

ボンネットが長い従来的なフォルム

だが、試乗コースとなったサーキット、オーストリアのザルツブルクリンクでM2を目の当たりにすると、容姿は明らかにM4とは異なる。ボディラインもプロポーションも、独自性が強い。しっかり偽装されていても伝わってくる。

M2のフォルムは、アグレッシブさが抑えられた従来的なクーペに見える。フェンダーラインが強く膨らみ、ギュッと引き締められた面構成が特徴といえる。

BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)
BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)

先代のM2ほどコンパクトではないし、M1クーペのように好戦的でもないようだ。それでも充分小さく感じられ、ボンネットが長くキャビンがタイトにまとまっている。

全体のスタンスから、高いエネルギーを放出する高性能な後輪駆動マシンだということを感じ取れる。ワインディングをさっそうと走りそうな、雰囲気が漂っている。

新しいM2が生産されるのは、2シリーズ・クーペと同じメキシコの工場。そこから英国へは、2023年4月頃から届けられる予定だという。

モデルの構成はシンプル。四輪駆動のxドライブは用意されず、後輪駆動のみ。450ps前後と予想されるエンジンの最高出力にも、バリエーションは設けられない。

トランスミッションはクラッチペダル付きの6速マニュアルか、トルクコンバーターによる8速オートマティックから選べる。こちらにはシフトパドルも付く。現在の市場では数少ない、FR+MTという組み合わせが選べるモデルになる。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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