直6エンジンはM4譲り BMW M2 クーペ 試作車へ試乗 450psに1650kgか? 後編

公開 : 2022.06.26 08:26

現行のMモデルでは最小サイズのM2。ひと回り大きく重くなる次期型を、英国編集部がサーキットで確かめました。

低く良好なドライビングポジション

試乗を許された、次期型BMW M2。偽装されたドアを開くと、分厚い布で覆われたインテリアが待っていた。8速ATと6速MTの両方を運転することができたものの、内装の素材や仕立てなどについては、お伝えできない。

少なくとも、ドライビングポジションは低く好印象。ステアリングホイールやペダルなどの位置関係も良い。メーターパネルはモニター式で、ヘッドアップ・ディスプレイも備わるが、こちらも高精細で見やすかった。

BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)
BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)

シートはBMWとしては一般的なデザインで、位置調整もしやすい。座り心地が良く、コーナーでもしっかり太ももや背中を支えてくれる、サイドボルスターが備わる。

M3やM4で選べる、カーボンシェルのバケットシートはオプションで装備可能。座面が低くなり、一層良好なドライビングポジションに落ち着ける。横方向のサポート性も大幅に向上する。

このバケットシートも快適に座れ、サーキット走行では明らかに有効。週末の走行会を楽しみたいというドライバーなら、迷わず選んでいいだろう。多少、乗降性は犠牲になるけれど。

BMWが用意してくれた試乗スケジュールは、オーストリアのサーキット、ザルツブルクリンクを6周するるセッションが2回。ATとMTを乗り比べるというもの。公道に出ることは許されなかった。

それでも、変化に飛んだ勾配の連続で、高速コーナーと低速コーナーが組み合されている。シャシーバランスを確かめられる場所といえる。

高性能モデルを運転しているという濃密さ

コースへ出てみると、冒頭のモヤモヤとしたものが一変。非常にダイナミックな特性を備えることが明らかとなった。車重が及ぼす制限は、最小限に抑えられたようだ。

同時に、先代のコンパクトなM2が打ち立てた、見事な機敏さや流暢さといった印象とも決定的に異なる。従来以上に操縦の正確性を高めつつ落ち着きを増し、ドライバーに寄り添った仕上りのようでもある。

BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)
BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)

M3やM4と比べて、パワーやサイズ、スピードでは確かに劣る。しかし高性能なモデルを自ら操っている、という感覚的な濃密さでは負けていない。

ペースを速めるほどに、盛大なサウンドやパワーだけでなく、手や足で運転しているという感覚が深くなっていく。ボディはコーナーでもフラットさを保ち、鋭く回頭。それでいて、乗り心地はさほど硬いとは感じられない。

意図したラインを忠実に辿り、コーナーの途中にある隆起部分は、アダプティブダンパーが受け流してくれる。先代では若干落ち着きのなかったリアタイヤは、しなやかに路面へ追従する。

これまでのM2でアダプティブダンパーを装備していたのは、最終のCSのみだった。しかし標準装備となった最新版では、ステアリングホイールにM1とM2と記されたボタンが追加された。ワンタッチで、クルマの特性を一変させることもできる。

ドライバーへ自信を抱かせるような一貫した挙動を保ったまま、高速にサーキットをクリアしていく。手のひらに伝わる情報量に不足はなく、グリップの限界領域でも漸進的だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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