直6エンジンはM4譲り BMW M2 クーペ 試作車へ試乗 450psに1650kgか? 前編

公開 : 2022.06.26 08:25  更新 : 2022.08.08 07:08

現行のMモデルでは最小サイズのM2。ひと回り大きく重くなる次期型を、英国編集部がサーキットで確かめました。

ブランドの特色の核心を突いたM2

BMWの小さな高性能クーペ、M2が2代目へ進化する。彼らが誇るMモデルとして、発売から約1年も前にプロトタイプへの試乗が許された。だが、一部の技術的な質問には答えてもらえなかった。まだ明かせない理由があるのだろう。

近年、自動車メーカーは早期の話題喚起のため、プロトタイプへの試乗機会を設けることが多い。自動車メディアとしても、新モデルの情報をいち早くお伝えできるから喜ばしい。ただし今回は、車重や燃費など一部の情報はお伝えできない。

BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)
BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)

新しいBMW M2は、クルマ好きにとって期待の新人といえる存在だろう。最新の技術が搭載され、パワフルでありながら、ボディサイズはコンパクト。先代は世界中で多くの熱狂的なファンを獲得した、高性能なスポーツカーだ。

すこぶる速いだけでなく、伝統のあるBMWとして純粋さも残されていた。モデル・ヒエラルキーとしては底辺に位置するものの、ブランドの特色としては核心を突いた個性が与えられていた。

次期M2の開発へ関わっている技術者やデザイナーなどは、その重要性を理解しているはず。実際、G87型と呼ばれる新しい2シリーズの開発では、早い段階でM2にも取り組む必要性を認識していたようだ。

ちなみに先代のF87型と呼ばれた2シリーズのクーペは、後輪駆動のF22型2シリーズ・クーペをベースとしていた。さらには後輪駆動だったハッチバック、1シリーズとも距離が近かった。

新プラットフォームで増えた車重とサイズ

しかし新しいG87型では、BMWの大型モデルが共通して採用する、クラスター・アーキテクチャというプラットフォームをベースとしている。全長が5m前後ある、8シリーズ・クーペやSUVのBMW X7と同じものだ。

この変化は、技術的にも大きな影響を与えたらしい。「プラットフォームの違いが、サイズや車重の増加につながることは理解していました」。と、Mモデルの開発主任技術者、スヴェン・エッシュ氏は話す。

BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)
BMW M2 クーペ・プロトタイプ(欧州仕様)

「その重量とどう戦うか、早いステージで決定する必要がありました。軽さを求めるには、多くの犠牲が必要になります。反対に車重を受け入れ、最高の技術を自由に搭載することで、パフォーマンスを最大化することも可能でした」

「最終的には、その決断は比較的難しくないものでした。多くの妥協を受け入れれば、開発中のクルマ(M2)が、より多くの能力を発揮できることも理解していました」

「一方で、よりパワフルで速く、先進的で一体感のある完全なモデルを作ることもできます。1つのトレードオフだけで」。ちょっとした言葉の綾にも聞こえる。スポーツカーの場合、車重が増えることでのメリットは限定的といえるからだ。

BMW側も、仕上りには強い自信を持っていないのかもしれない。「これから数kmの体験では、マイナス要因が見えるかもしれません」。と、エッシュは続けた。

次期M2の正確な車重を伝えることには、明らかに積極的ではない。少なくとも、先代のM2の1575kgと新しいM4クーペの1725kgとの、間に収まることは想像できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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