航続距離を僅かにプラス シトロエンe-C4 シャインプラスへ試乗 共感すれば楽しい

公開 : 2022.07.08 08:25

フランスのBEVクロスオーバーが、アップデートで航続距離を僅かに伸延。英国編集部が一般道で評価しました。

熱効率に優れるヒートポンプを採用

ご存知かもしれないが、英国政府は突然、電気自動車に対する補助金をストップした。新車価格で3万ポンド(約495万円)以下のBEV(バッテリーEV)が、1500ポンド(約24万円)の補助対象になっていたのだが、メーカーもユーザーも痛手といっていい。

しかし、欧州市場全体で支持を集めるシトロエンe-C4は、当初から補助金の対象外だった。2022年仕様としてフェイスリフトも受けており、人気は変わらずかもしれない。

シトロエンe-C4 シャインプラス(英国仕様)
シトロエンe-C4 シャインプラス(英国仕様)

とはいえ、今回シトロエンが施した変更には、エントリーグレードとミドルグレードの価格調整も含まれていた。e-C4のセンス・グレードなら、3万ポンド(約495万円)未満で乗ることが可能となっている。シトロエン側としても、肩透かしといえそうだ。

本来ならこのグレードを確かめたかったのだが、今回、英国シトロエンが貸し出してくれたのはトップグレードのシャインプラス。そちらは後日に取っておくことにして、発売から2年後に施された機械的な改良を確かめてみよう。

まず触れるべき変更点はエアコン。DSやプジョーなど、e-CMPプラットフォームをベースとするステランティス・グループのモデルと同様に、e-C4にも熱効率に優れるヒートポンプを用いたシステムが標準装備となっている。

ロングなギア比でエネルギー効率を向上

トランスミッションのギア比は、少しロングになった。加速性能は若干犠牲になるものの、クルージング時のエネルギー効率という点ではメリットがある。

実際、2022年仕様のe-C4の0-100km/h加速時間は10.0秒とうたわれている。一方で、フェイスリフト前は9.0秒がカタログに記載されていた。この違いは、ギア比がもたらすものだといえる。

シトロエンe-C4 シャインプラス(英国仕様)
シトロエンe-C4 シャインプラス(英国仕様)

また、最新版はA+ランクのエコノミータイヤも履いている。エネルギー効率を最大化し、航続距離を伸ばすために。

数字上は発進加速が若干鈍くなっているとはいえ、実際に一般道を運転してみると、e-C4が遅くなったと実感することはない。市街地の速度域なら、充分活発なダッシュ力を披露してくれる。駆動用モーターの最高出力は136psだ。

高速道路の速度域へ迫るにつれて、徐々に加速の勢いは鈍くなっていく。e-C4は、追い越し車線が得意とはいえない。日常的な利用では動力性能に不満を感じることはなく、運転もしやすい。

乗り心地は柔らかく、ステアリングフィールも軽く穏やか。コーナーへ侵入すると、ボディロールが大きめに感じられる。ただし、グリップ力や安定性を損なうほどの傾きではない。むしろ、快適性重視のシトロエンらしいマナーといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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