フォルクスワーゲン・シロッコR

公開 : 2014.07.17 23:30  更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

フォルクスワーゲン・シロッコが産声を上げて40年が経った。その記念すべき年に、新しいスタイルを身にまとうシロッコRのフェイスリフト版の登場と相成った。

‘新しい’ とは言ったものの今回のモデルの見た目は、さほど大きく変更されていない。熱狂的なファン以外、先代と見分けることは難しいだろう。

ヘッドライトとテールランプの意匠は変更を受け(テールランプはLEDを採用)、バンパーもデザインし直されている。その反面、燃費やCO2排出量、動力性能に関しては議論する余地がありそうだ。

シロッコRの最高出力は先代+15psの280ps。と、ここまで見れば悪くはなさそうなのだが、ゴルフRと比較して20psも劣る点が問題なのだ。それだけではない。駆動方式がFFのみとなる点も4WDのゴルフRと比べると首を傾げざるを得ない。

さらにボンネットに収まるエンジンは先代同様のEA113型2.0ℓ4気筒ターボ・エンジンで、ゴルフRのEA888型のエンジンの採用は見送りとなった。

機械的な変更はなく、電子制御の見直しのみに留まっている点も、飛躍的な出力向上に至らなかった原因のひとつだと言えよう。

一方のフォルクスワーゲンは、DDC(ダイナミック・シャシー・コントロール)やナビゲーション・システム、レザー内装を標準装備することによりゴルフRよりも優れたスペックを約束すると主張するのだが、実際のところ0-100km/h加速は5.5秒に留まり、ゴルフRの4.9秒よりも遅い結果となる。

またゴルフの場合、ESPによる制御を完全に開放することが出来るのだが、シロッコにおいてはいかなる設定においてもESPは介入し続ける点も無視できない。

■どんな感じ?

素性が素晴らしいだけに酷い評価を下すことはないが、あまりにも控えめなアップグレードは、魅力を増してきたプジョー・RCZ Rやトヨタの後輪駆動車であるGT86、ルノースポーツ謹製のメガーヌ、BMW235iから距離をあけられる結果となってしまったことは認めざるを得ない。

とは言うものの、今回のテストはシロッコRのもつ2.0ℓターボ・エンジンの素晴らしさを味わう絶好の機会となったのも事実だ。どんな回転域でも、どんなギアを選択していても、リニアにパワーを供給してくれるのだ。4気筒の価値観を変えるような、エンジン・サウンドにも改めて感動した。

動力性能を味わいたいのであれば6速マニュアル・トランスミッションを選択されたい。DSGの方が間違いなく変速に要する時間は短いのだが、燃費を気にするあまり熱心に変速していく様は、情熱的なドライビングを愛する向きには興醒めになりかねないからだ。

シロッコRを購入する層のうちMTを選ぶのは、ほんの一握りであることは百も承知だ。しかしながら我々は、利便性を投げ打ってでもMTを選択することを強く推す。歯切れよくシフトするわけではないのだが、2.0ℓターボの中速域での美味しさを味わうにはやはりMTの方がいいのだ。

他のライバルと比べて十分に楽しむことが出来ることも、そう主張する理由のひとつだ。

ステアリングはクイックで正確、路面からのインフォメーションは控えめではあるものの、17インチ・ホイールに収まるブレーキの性能は高い。グリップは高く、トラクションにも優れる。少なくともコンフォート・モードでは安定感も抜群だ。

■「買い」か?

技術面は非常に優れる。ただし残念ながらあなたを否応なく引きずり込むような刺激は持ち合わせていない。

こればかりはどのグレードのシロッコにも共通するゆえ、仕方ないといえば仕方ないのだが、全ての人を満足させることは難しいだろう。

したがって他のライバル車を持つオーナーを引き込むほどの力はないけれど、ゴルフRのオーナーの心を揺さぶる可能性は無きにしもあらずだ。

(カイル・フォーチュン)

フォルクスワーゲン・シロッコR

価格 £33,795(588万円)
最高速度 250km/h
0-100km/h加速 5.5秒
燃費 12.6km/ℓ
CO2排出量 185g/km
乾燥重量 1450kg
エンジン 直列4気筒1984ccターボ
最高出力 280ps/6000rpm
最大トルク 35.7kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

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