元日産幹部、ケータハム・カーズCEOに就任 来年にも同社初のEV発表か

公開 : 2022.07.04 18:05

日産のスポーツカー開発に携わってきたボブ・レイシュリー氏が、ケータハムのCEOに就任しました。EVモデルの開発計画には前向きな姿勢を見せています。

ケータハム移籍から1年でトップ就任

日産自動車でスポーツカー担当プログラムディレクターを務めていたボブ・レイシュリーは、英国のスポーツカーブランドであるケータハム・カーズのCEOに就任した。これまで10年間にわたり同職を務めたグレアム・マクドナルドの後任となる。

ボブ・レイシュリーは、昨年4月に日本の自動車小売グループであるVTホールディングスがケータハムを買収した後、最高戦略責任者として就任した。それ以前は、日産のスポーツカー部門を6年間率い、フェアレディZ(370Z)やGT-Rの開発にも携わってきた。

新たにケータハムCEOに就任したボブ・レイシュリー氏
新たにケータハムCEOに就任したボブ・レイシュリー氏

ケータハムは2021年、販売台数が新型コロナウィルスの感染拡大前と比べて41%増加し、過去最高を記録している。

レイシュリーは、CEO就任に際し「ケータハムの従業員を代表して、過去15年間にわたるグレアムの功績に感謝したいと思います。彼は2021年に過去最高の販売台数を記録するなど、好調な業績を残して去ることになります」と述べた。

昨年ケータハムに移籍した直後のAUTOCARとの独占インタビューで、レイシュリーは同社の戦略の概要を説明してくれた。排出ガス規制と安全規制が厳しくなる中、ケータハムのトレードマークであるダイナミクスとピュアな走りを維持することが重要だと語り、EVモデルの計画が順調に進んでいることを明らかにした。

「EVへの移行を検討する必要性は明らかで、グレアム(・マクドナルド)はEVに関する議論を続けています。ケータハムのEV計画は、わたしが想像していたよりもずっと進んでいました。技術的な課題もありますが、わたし達にとっての一番の課題は、これまでと同じように楽しい体験をEVで提供することなのです」

「EVを作るべきかどうか、否定的な意見もありますが、わたしはEVが必要だと信じていますし、運転が楽しくて、なおかつ『セブン』であるという体験を提供することがわたしのプライオリティです。セブンの歴史の上に築かれたものでなければなりません。その生のドライビング・エクスペリエンスを届けたいのです」

CEOを退任したマクドナルドは、昨年、EVモデルのプロトタイプを運転したことを明かし、「ゴーカートに非常によく似ています。2ペダルで、急加速もできますし、運転しがいのある製品です。ワクワク感は変わりませんが、違う意味でエキサイティングです」と話している。

さらにマクドナルドは、2023年に行われるケータハムの創立50周年記念式典が、EVモデルの発表にふさわしい舞台となることを示唆した。電動化したセブンの姿を、早ければ来年にも見られるかもしれない。

ケータハムにおける15年間(うち10年はCEOとして)の勤務を終えて、マクドナルドは次のようにコメントしている。

「この場を借りて、これまで支えてくれたお客様、スタッフ、ディーラー、株主、サプライヤーに感謝を申し上げたい」

「ケータハムで15年を過ごし、10年間CEOを務めた今が、引退するのに適切な時期だと感じています。大きなチャレンジもありましたが、ケータハムで過ごした時間は、すべて楽しかったと言えます」

「健全な業績とともに会社を去ることができることを誇りに思います。そして、ボブ(・レイシュリー)と会社の今後の繁栄を祈っています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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