高速は快適に・峠道は軽快に メルセデス・ベンツ190(W201) 英国版クラシック・ガイド 前編

公開 : 2022.08.13 07:05

高価格で取引されるエボIとII

1982年に販売が始まった190クラスは、登場から40年が経過し、英国では順次クラシックカーとして免税対象になっていく。そのため、中古車価格は上昇すると考えて良い。日本でも取り入れて欲しい制度だ。

ホモロゲーション・モデルは生産台数が少なく、価格はそれ以外より高い。2.3-16は1983年から1988年にかけて1万7037台が製造されており、2.5-16は1988年から1993年にかけて4784台が作られている。

メルセデス・ベンツ190クラス・エボリューションI(W201型/1989年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ190クラス・エボリューションI(W201型/1989年/欧州仕様)

別クラスといえる値段で取り引きされているのが、アグレッシブな見た目の190 エボリューションIとエボリューションII。この2種には、右ハンドル車は存在しない。

グレードを問わず、優れた乗り心地と操縦性を備えているのが、190クラスの強み。ライバルをリードする仕上がりだった。コスワース・チューニングでも、その特長は変わらない。

高速道路は快適に、カーブの続くワインディングは軽快に、運転を楽しむことができる。不自然に落ち着きがない場合は、何か不具合を抱えている証拠といえるだろう。

オーナーの意見を聞いてみる

写真のメルセデス・ベンツ190 Eを大切に乗っている、ジェームズ・マーシャル氏。「子供の頃から、コスワース・エンジンの190が大好きでした。ところが運転免許を取得した頃は、保険が高く乗ることができませんでした」

「このクルマは、2台目の190。以前のボディカラーはシャンパン・シルバーでしたが、今の色の方が気に入っています。これまでファミリーカーとして乗られており、整備記録はすべて書類に残っています」

メルセデス・ベンツ190クラス(W201型/1982〜1993年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ190クラス(W201型/1982〜1993年/英国仕様)

「走行距離は12万5000kmを超えたばかり。メルセデス・ベンツの走行フィーリングは大好きですが、距離を伸ばしたくないので、乗るのは特別な時に限っています。公道に出るのは、1年間に数週間くらい」

「ほかにも、E30型のBMW M3 コンバーチブルと、レストア途中のプジョー205 GTiがガレージに納まっています。フォード・エスコート RSにも興味はありますが、2.5-16はずっと維持したいと考えています。英国製の最高のエンジンですからね」

英国で掘り出し物を発見

メルセデス・ベンツ190 E 2.3-16

登録:1985年 走行:15万5100km 価格:4万3800ユーロ(約613万円)

人気のコスワース・エンジンを搭載した190クラス。初期型で、ブラックレザーの内装がブラックのボディとマッチし、シャープな雰囲気を醸し出している。アルミホイールのリムもきれいなようだ。

メルセデス・ベンツ190 E 2.3-16(W201型/1985年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ190 E 2.3-16(W201型/1985年/欧州仕様)

エンジンルーム内も整っており、塗装の状態は良い。フロントノーズには、飛び石キズが幾つかあるという。ゲトラグ社製のMTが組まれている。3オーナーで、比較的乾燥したイタリアで乗られてきた点も魅力。

内容としては手頃な価格といえ、インテリアの状態なども、長すぎない走行距離を裏付けている。オリジナルの、ベッカー・グランプリ社製のステレオユニットが付いている。

メルセデス・ベンツ190

登録:1989年 走行:25万2600km 価格:350ポンド(約6万円)

勇気があるなら、レストアベースとしていかがだろう。路上への復帰は可能と思われるが、広範囲に手を加える必要はあるだろう。MTが搭載された、2.0Lのキャブレター4気筒エンジンが載っている。

10年ほど駐車場に停めっぱなしで、フロントフェンダーにはサビが浮いている。だが、内装の状態は驚くほど良好なようだ。ブルーのダッシュボードに割れはなく、シートのクロスに破れはない。サンルーフから水漏れがないか、充分確かめた方が良いだろう。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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