現代モデルでは得難い運転の喜び フェラーリ・テスタロッサへ試乗 父の愛車 後編

公開 : 2022.08.10 10:00

番外編:父が購入したテスタロッサ

筆者の父にとっては、一生に一度の大決断だった。彼が最初の退職祝いとして購入したのが、フェラーリ・テスタロッサ。イングランド北部の新規事業の株も購入し、テスタロッサで月に1度、その場所へ向かうことを考えていたようだ。

父はイタリア北部のマラネロでクルマを受け取り、自ら運転して英国へ上陸させた。途中、やむなく一度の昼食を挟んで。

フェラーリ・テスタロッサ(1984〜1991年/英国仕様)
フェラーリ・テスタロッサ(1984〜1991年/英国仕様)

しっかりエンジンの慣らしを終えると、テスタロッサは260km/h近い速度まで難なく到達するようになったらしい。回り道をしながら英国へ帰ってくる頃には、走行距離は1600kmを超えていた。

しばらくして、先述のAUTOCARでの比較試乗に登場した。父は計画通り仕事の移動手段としてテスタロッサに乗っていたものの、交通量の多い英国の高速道路では期待ほど運転が楽しいとは感じなかったらしい。

当時の英国の経済状況では、フェラーリは短時間に価値を高め資産になった。フェラーリ・ディーラーのグレイポール社からの申し出で、父はクルマを売却したのだった。それ以来、2度と同じクルマに出会うことはないだろうと考えていた。

※この記事のオリジナルは、2015年11月29日に公開されたものです。

フェラーリ・テスタロッサ(1984〜1991年/英国仕様)のスペック

英国価格:6万2666ポンド(新車時)
販売台数:7177台
全長:4500mm
全幅:1980mm
全高:1130mm
最高速度:292km/h
0-97km/h加速:4.7秒
燃費:5.3km/L
CO2排出量:−
車両重量:1506kg
パワートレイン:水平対向12気筒4943cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:390ps/6800rpm
最大トルク:49.8kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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