フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(2) まさに疾走する壮大なシアター クーペの才腕を継承 トンネルで悦に入るサウンド

公開 : 2026.07.28 18:10

フェラーリ 849テスタロッサに、リトラクタブル・ハードトップを得たスパイダー登場。1050psのV8プラグインハイブリッドと秀抜なシャシーで、まさに疾走する壮大なシアターです。UK編集部が試乗します。

3基のモーターを実装しEVモードで最長24km

フェラーリ 849テスタロッサスパイダーは、計3基のモーターが実装されるプラグイン・ハイブリッド。前側には両輪にラジアルフラックス・ユニットが、リア側には8速デュアルクラッチATの手前に、アキシャルフラックス・ユニットが組まれている。

フロントタイヤは、左右それぞれ独立して駆動され、自在なトルクベクタリングに対応。リア側のモーターは、4.0L V8ツインターボエンジンをアシストするだけでなく、発電機として駆動用バッテリーを充電することもできる。

フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)

バッテリーの容量は7.45kWh。フル充電なら、EVモードで最長24kmをまかなえ、瀟洒な住宅地を静かに出発できる。空になっても、V8エンジンだけで進むクオリファイ・モードなら、数kmで回復できるという。

直接耳へ届く響きにクーペと遜色ない動的能力

リトラクタブル・ハードトップを得ても、849テスタロッサの魅力は損なわれていない。むしろ、人里離れたところでV8ツインターボを開放すれば、官能的なサウンドが直接キャビンへ届く。ターボは管楽器のような高音を奏で、劇場感は強い。

ただし、心を震わせる咆哮を放ったかつてのスパイダーほど、強烈な刺激まではないかもしれない。始動時のひと吠えは勇ましいが、多用する中域の響きは少し無機質。贅沢なことかもしれないが、調律されすぎた響きに聞こえる。

フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)

これは、フラットプレーン・クランクによるトレードオフ。その対価として、印象的なスタイリングへ相応しい、驚異的な動力性能を得ているのだ。296 GTSが搭載するV6エンジンは、高負荷時にV12を彷彿とさせる音色を放つけれど。

クーペと遜色ないとフェラーリが主張する動的能力は、実際にステアリングホイールを握れば納得できる。巧妙なハイブリッド技術で、1000馬力という大パワーを容易に引き出せ、加速力は電動のハイパーカーへ劣らず。反面、興奮度はEVの比ではない。

言葉を失うステアリングの精緻さと即時さ

右足を傾ければ、8300rpmのレッドゾーンまで瞬間的。ヘアピンが連続する峠道の短い直線でも、その気になればシフトアップ・インジケータを灯すことは難しくない。その領域では、レーシングカーさながらの咆哮が周囲を震わせる。

シフトダウン時には、特有の唸り。クーペよりシャープな音響体験が、運転への陶酔を誘う。トンネルでは、すっかり悦に入った。ここに破裂音が加われば、夢心地だろう。

フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)

車重は1.7tを超えるのに、ステアリングの精緻さと即時さにも言葉を失う。ステアリングレシオはクイックながら、神経質さは巧妙に抑えられている。速度を問わず、手のひらには心地良いフィードバックが伝わり、落ち着いた印象すら伴う。

フロントの2基のモーターが叶える、トルクベクタリングも効果的。コーナーを鋭く旋回するさなか、不自然な挙動は一切表れない。敏捷性を高めているだけといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。

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