システム改良で訴求力上昇 ボルボXC60 リチャージT6 AWDへ試乗 安全で安心なSUV

公開 : 2022.10.03 08:25

ブランドに共感する人には強い魅力

走行中、駆動用モーターから内燃エンジンへの切り替えはシーレス。低回転域から滑らかに回るが、アクセルペダルを踏み込むと若干荒っぽいノイズが聞こえてくる。

モーターの即時的なトルクの立ち上がりと相まって、2.0L 4気筒ガソリンターボから想像する以上にダッシュ力がある。車重は2011kgもあるが、0-100km/h加速を5.7秒でこなす。マイナーチェンジ前のリチャージT6から0.2秒縮めた。

ボルボXC60 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT6 AWD プラス(英国仕様)
ボルボXC60 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT6 AWD プラス(英国仕様)

XC60の操縦性は洗練されている。コーナリングスピードも驚くほど速い。だが、ジャガーEペイス P300eで味わえるような軽快さまでは得ていない。

クルマ全体の性格としては、角の取れた優しい印象。シートは座り心地がよく、サスペンションは硬すぎず、舗装の小さな凹凸を吸収し柔らかく路面へ追従する。高速道路の速度域では、静かな車内空間で穏やかに移動できる。

カーブが続く区間では、シャシーの有能ぶりを確かめられる。思わず夢中になってしまう気持ちの高ぶりではなく、安心で安全という印象で。それでも、高速コーナーを滑らかに確実に通過していくマナーは、運転する喜びにもつながる。

ドライバーに対する魅力度でいえば、Eペイス P300eやBMW X3 xドライブ30eなどの方が勝ることは間違いない。それは、各ブランドが狙った性格付けといえる。

ボルボというブランドに共感する人なら、XC60 リチャージT6の個性へ強い魅力を感じるはず。マイナーチェンジで、訴求力は増したといっていいだろう。

ボルボXC60 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT6 AWD プラス(英国仕様)のスペック

英国価格:−
全長:4708mm
全幅:1902mm
全高:1902mm
最高速度:−
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:76.8-99.8km/L
CO2排出量:24g/km
車両重量:2011kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー+同期モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:14.9kWh(実容量)
最高出力:350ps/5500rpm(システム総合)
最大トルク:35.6kg-m/3280rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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