公道の速度でも濃密で特別 ランボルギーニ・ガヤルド 英国版中古車ガイド NA V10を堪能する

公開 : 2022.10.11 09:45  更新 : 2022.10.11 09:45

自然吸気V10エンジンをミドシップしたガヤルド。お手頃価格になったスーパーカーを英国編集部が振り返ります。

忘れがたいV10のスピードとサウンド

ランボルギーニを象徴する色がイエローな理由は、その鮮烈な色彩からイメージするように、生み出されるモデルがエキサイティングだから。今回振り返るシャープなスタイリングのガヤルドも、その代表的な1台といっていい。

発売は2003年と、早いもので20年が経とうとしている。かつては高嶺の花だったミドシップ・スーパーカーも、今ではBMW 5シリーズの上級グレードと同じくらいの金額で探せるようになった。時間の経過は、時にわれわれへ味方してくれる。

ランボルギーニ・ガヤルド(2003〜2013年/欧州仕様)
ランボルギーニ・ガヤルド(2003〜2013年/欧州仕様)

当初搭載されたエンジンは5.0L V型10気筒で、最高出力500psを発揮した。トランスミッションは、シフトパドルで変速可能なシングルクラッチの6速セミオートマティックか、純粋主義者向けの6速マニュアルが選べた。大パワーは、四輪駆動が受け止めた。

ガヤルドのV10エンジンが放つスピードとサウンドは、1度味わえば忘れることができないだろう。混雑した都市部でも、特徴的なサウンドは聴き間違えることがないはず。基本を同じにする、アウディR8を除いて。

そもそもV10エンジン自体が珍しい。レクサスLFAやポルシェ・カレラGTのV10よりサウンドには厚みがあり威圧的。甲高く遠吠えするような響きとは、一味違う。

この代えがたい音響を直接に体感するなら、2006年に追加されたスパイダーが好適。2005年からガヤルド・クーペにも搭載されていた、520psのV10を生で思う存分堪能できる。

信じられないほど濃密で特別な感覚

エンジンのパワーアップに合わせて、同時期にはサスペンションとエグゾースト、ステアリングラックなども改良を受けている。トランスミッションのギア比はショート化され、より鋭い加速をアシストしていた。

2008年にマイナーチェンジ。シャープなスタイリングはアップデートされ、V型10気筒は5.2Lへ排気量を拡大。最高出力は560psへ増強され、一層シャープなスーパーカーへ磨かれている。

ランボルギーニ・ガヤルド(2003〜2013年/欧州仕様)
ランボルギーニ・ガヤルド(2003〜2013年/欧州仕様)

この後期モデルには、ヴァレンティーノ・バルボーニなど、注目に値する特別仕様も幾つか投入された。ランボルギーニの伝説的テストドライバーの名前に由来するこの仕様では、最高出力は540ps。後輪駆動というチャレンジングな内容だった。

通常の四輪駆動のガヤルドLP560-4の場合、0-97km/h加速を3.7秒でこなした。最高速度は325km/hと、戦闘力は高い。

前期型か後期型を問わず、ガヤルドなら痛快なドライビング体験を堪能できる。高回転域でほとばしるパワーと、不足ないグリップ力、シャープな操縦性などを思う存分楽しめる。仕様によって、多少の差があるとはいえ。

公道の速度域でも、信じられないほど濃密で特別な感覚を味わえる。まさに劇場的といっていい。

現在の中古車価格を見てみると、英国では6万ポンド(約990万円)以下で購入できる例もある。新車時は12万ポンド以上の金額だったから、驚くほどお買い得。内燃エンジン時代の締めくくりに、楽しんでおくのも悪くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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