エンジンの存在感で違うスピード感 メルセデスAMG CLE 53 長期テスト(4) 体験施設でトレーニング

公開 : 2025.06.02 19:05

クラシカルなクーペ・シルエットが麗しい、ハイテク満載のAMG CLE プレミアム・ラグジュアリーへの回帰を感じる雰囲気 肉肉しいマッスルカー的走り 英編集部が長期テストで魅力を深掘り

積算5730km メルセデス・ベンツ・ワールドへ

初めてメルセデスAMGを運転する時、誰しも多少は緊張するはず。AMG CLE 53の好戦的なスタイリングを見れば、少し浮足立つことは間違いない。

グレートブリテン島南部のサリー州には、メルセデス・ベンツ・ワールドという体験施設がある。かつて存在した、ブルックランズ・サーキットの跡地に。英国編集部で運転トレーニングに参加できると聞いて、迷わず自薦させていただいた。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス(英国仕様)

短時間の同乗体験から、1日を費やしたサーキット・トレーニング、子供向けのクラスまで、様々なメニューが用意されている。バッテリーEVにオフローダー、スーパーサルーンまで、用意されるデモ車両も多岐に渡る。料金は、45ポンド(約9000円)からだ。

そんな中で、最初にステアリングホイールを握らせてもらったのは、AMG C 63 S Eパフォーマンス。専属コーチは、フェラーリのGTマシンでレース経験もある、ドライバーのキース・ロビンソン氏だった。

どこか電車のようなEVモードでの全開走行

まず腕試ししたのは、一定の技術が求められるハンドリングコース。様々な特徴のコーナーがバランス良くレイアウトされ、ストレートも充分に長く広い。最高出力は680psあるから、相当なスピードに到達する。

クルマへ馴染むのと同時に、ロビンソンは筆者を奮い立たせる。ステアリングの操作やブレーキングポイント、コーナリングラインなどへ、的確にアドバイスされる。

メルセデス・ベンツ・ワールドでの運転トレーニングの様子
メルセデス・ベンツ・ワールドでの運転トレーニングの様子

濡れたサーキットで、プラグイン・ハイブリッドの高性能サルーンを攻め立てたことはこれが初めて。学びが多かった。

最後に、EVモードで走行。AMG C 63は静かな状態でも速い。環境性能と走行性能の両立には、驚かされるばかりだ。ただし、どこか電車のようでもあり、興奮は薄い。AMGはV8エンジンを復活させるというが、うれしいニュースだ。

理屈を塗り替える四輪駆動の4マティック

ハッチバックのAMG A 45 Sへ乗り換えると、さらに自在に操れる印象。シンプルなガソリンターボエンジンと重すぎないボディ、四輪駆動というパッケージングで、すぐに自信が湧いてくる。

そのまま、滑りやすいスキッドパンへ。パワースライドの理屈は理解していたが、メルセデスAMGの四輪駆動システム、4マティックはそれを塗り替える。クルマを思い切り横に向け、ステアリングは直進状態でアクセルペダルを傾けると、ドリフトが続く。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ(英国仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ(英国仕様)

ロビンソンは、1発目である程度ドリフトできたことに感心してくれた。しかし、自分的には不自然さが拭えなかった。

大きな水たまりでは、緊急停止の方法も学ばせていただいた。基本は、優しくブレーキペダルを踏み込んでいくこと。一気に力を込めると、ABSが介入するものの、タイヤは路面を捉えきれずズルズルと滑ってしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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