東欧の大衆車が現代に復活 VW傘下のスコダ、モダンな『ファヴォリット』コンセプト公開

公開 : 2025.06.02 07:45

チェコのスコダが小型ハッチバックのコンセプトを公開しました。1980年代から1990年代にかけて販売されていた『ファヴォリット』を現代的に再解釈したもので、最新のデザイン要素を融合させています。

チェコの名車 レトロ過ぎない塩梅に

フォルクスワーゲン・グループ傘下でチェコの自動車メーカーであるスコダは、1980年代後半から1990年代半ばにかけて生産していた小型ハッチバック『ファヴォリット(Favorit)』の現代的なEVコンセプトを公開した。

ベルトーネが手掛けたオリジナルモデルのデザインと、スコダの新しいデザイン言語「モダン・ソリッド」を融合させ、デザインスタディとして再構築した。量産化の計画はまだ確認されていない。

スコダ・ファヴォリットのEVコンセプト。左側に見えるのがオリジナルモデル。
スコダ・ファヴォリットのEVコンセプト。左側に見えるのがオリジナルモデル。    スコダ

デザイナーのリュドミル・スラヴォフ氏によると、新型ルノー5のような露骨なレトロな要素を取り入れることなく、1987年の発売当時の雰囲気を保ちながら、120時間以上を費やして構想したという。

スラヴォフ氏は、「SUVが人気を集めている現代に合わせて、オリジナルのアイデアをアップデートしたかったのです。ボディ構造を高くすることで、バッテリーを床に配置しやすくなりました」と述べている。

現在のスコダ車の最も特徴的なデザイン要素である「テックデッキ」と呼ばれるグロスブラックのフロントフェイスは、あえて導入しなかった。代わりに、従来のファヴォリットの「ミニマルな」特徴を「進化させ、高める」ことにしたという。

「非常に難しい作業でした。わたしは多くのバージョンをスケッチし、グリルとヘッドライトの理想的な形状を探し、さまざまな視点から検討して、同僚たちに何度も相談しました」とスラヴォフ氏は語る。

LEDランニングライトとフロントおよびリアライトの形状は、オリジナルのファヴォリットから受け継いだ要素だ。フロントとリアに配された「SKODA」のロゴはイルミネーション付きだ。

インテリアの詳細な画像はないが、シートのヘッドレストはオリジナルのファヴォリットの穴あきタイプを、ブラウンのレザー張りは1980年代後半のトレンドを彷彿とさせる。

乗用車バージョンに加え、1990年代初頭に世界ラリー選手権(WRC)のF2クラスで成功を収めたラリーバージョンも製作された。低くワイドなスタンスと、無塗装のプラスチック製バンパーを採用し、WRCファヴォリット136 L/Aをモチーフにしたホワイト、グリーン、レッドのカラーリングが施されている。

スコダは近年、旧モデルのリデザインシリーズを断続的に発表しており、今回のファヴォリットはその最新作となる。2021年には、バンの1203、Voiturette A、Felica Cabriolet、130RS、Popular Monte Carloの現代版が披露されている。

記事に関わった人々

  • チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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