簡単だけど必要 EVのメンテナンス方法 注意すべきポイントとは?

公開 : 2022.10.28 06:05

EV(電気自動車)のメンテナンス方法を紹介します。従来の内燃機関車と比べてシンプルな構造のEVですが、定期的な整備やチェックは欠かせません。

手入れは簡単? EVのメンテナンス

最先端のテクノロジーを搭載したEV(電気自動車)は、内燃機関車に比べて維持やメンテナンスにコストがかかると思われることがある。しかし実際には、機械的な部品が少ないため、あまり手間がかからず、財布への影響も少ない。

とはいえ、エンジン以外に手入れが必要な部分も多いので、メンテナンスフリーというわけではない。では、どんなことが必要なのだろうか? EVのメンテナンス方法について紹介したい。

構造がシンプルなEVだが、どこをメンテナンスしなければいけないのだろうか?
構造がシンプルなEVだが、どこをメンテナンスしなければいけないのだろうか?

メンテナンスが必要な箇所

すでに述べたように、電気モーター(複数搭載されることもある)はあまり注意を払う必要がない。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンには何千もの可動部品が使われているが、電気モーターは非常にシンプルで、ほとんどが20程度の部品からできている。

そのため、オイル交換やフィルターの交換、カムベルトやウォーターポンプの交換は必要ない。しかし、それでも故障の可能性を検出する診断機による簡単なチェックは必要だ。バッテリーも同様で、可動部品がないためメンテナンスの負担は軽い。バッテリーを構成するセルの性能をチェックし、異常があればデータとして表示される。

車重の重さ、トルクのかかりかた、バッテリーの状態などEV特有の注意点は多い。
車重の重さ、トルクのかかりかた、バッテリーの状態などEV特有の注意点は多い。

また、高電圧ケーブルの点検も行う。ボンネットなどを開けると見える鮮やかなオレンジ色が高電圧ケーブルで、損傷や接続の緩みがないかを確認する。ほとんどの場合、走行中に巻き上げるゴミなどから守られるよう設計されているため、基本的に問題は起こりにくい。

トランスミッションも、ほとんどのEVは基本的にメンテナンスフリーだ。EVに搭載されているのは減速機とディファレンシャルだけで(一部モデルを除く)、一般的な多段変速機よりもシンプルな構造となっている。減速機のギアには、潤滑のためにオイルが使われているが、ほとんどのメーカーは高度な合成油を使用することで、「定期的な交換は不要」としている。

また、EVには従来の自動車と同様に冷却システムが搭載され、モーターの回転数や外気温に関係なく、バッテリーを最適な温度に保っている。空気で冷やす空冷式と、液体で冷やす水冷式があるが、後者は液量を目視で確認し、必要なら補充する程度で済む。

その他の部分は、従来の内燃機関車とほぼ同じであり、注意すべき点も変わらない。EVの場合、電気モーターの抵抗で減速する回生ブレーキの使用により、従来の摩擦ブレーキはディスクやパッドの交換頻度を減らすことにつながるだろう。しかし、EVは車重が重いため、ブレーキへの負担は大きくなることは覚えておいたほうがいい。また、ブレーキフルードは通常2年に1回交換する必要がある。

サスペンションやステアリング、タイヤの状態も定期的に確認する。EVは質量が大きく、瞬時にトルクが発生するため、特にタイヤの摩耗率が高くなる。

最後に、冷暖房と換気システムの点検では、ほとんどの場合、従来と同様にエアフィルターを交換するだけで済む。エアコンシステムの冷媒もチェックし、必要に応じて補充される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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